Key-0219　/　非募集

(気を遣わせてしまっている以上、少しでも早く城に向かえるようにしなければ。焦燥感にも似た緊張感がキリキリと胃を締め付けるのは初対面の女性に触れていると言う事実が、その行為に意識の有無は別として不純さを表しているように思えてしまうからか。普段から愛想の感じられない良いとは言い難い目付きをより一層凝らす様に細めて方向感覚を探る、時折進むべき方向に合わせて摘まむ袖口をクイと引き"コッチだ"と行先を示し、集中して歩くが風の音しか響かないと言うのは先の緊張感をより強ませることとなり。何か当たり障りのない会話を、と言葉を考えるのに欠落するコミュニケーション能力のせいで碌な言葉も浮かばずに沈黙ばかりが続き。「……元アリスっつったっけ。普段遊園地に籠ってるから城の話を良く知らねぇんだワ、＿＿＿誰が、その。何っつうか」隣を歩く彼女がアリスを降りたと言う事は誰かの恋人となったから、事実、自分以外のそう言った話を聞かない為に最初こそ問いかける様な言葉を続けてみたが。言葉の途中にてセクハラの一つではと思い直したようで線を引くように唇を一の字で結べば「何でもねぇヨ」と泡食うように先の言葉を取り消して)