Key-0219　/　非募集

＿＿ええ、任せてもらったからにはしっかりエスコートさせて頂くわ。いいお手本がいつも傍に居るから自信はあるのよ？
(やはり彼の様なタイプには少々踏み込み過ぎた申し入れだっただろうか、至極混乱している様子の相手を眺めながら僅かに目を細め胸中に燻る後悔の念を押し留めれば思わず視線を落として。自分の行動はあくまで対象に対する誠意のつもり、けれどそうして誠意を向けることで計らずとも自分自身を"良い人"に仕立てようとしてしまっていることも、誠意を向けることだけが相手に対する最良とは限らないことも理解していて。そう分かっていても行動してしまうのはきっと自分のプライドでしかないのだろうことをこんな時に再認識してしまい思わずずんと気持ちが暗くなりかけた時、ふと僅かに袖を引く感覚に気付いて。よくよく考えて、その上で勇気を出して手を伸ばしてくれたのだろう。行動こそ何とも不器用さが否めない距離感であるもののしっかりと伝えられた感謝の言葉に沈みかけていた気持ちがふっと軽くなるのを感じ。自分の誠意がどんなものかなど今は関係なく大切なのはその誠意に返してくれた相手にどう応えるかだろう、少しばかり気分が晴れたのかほう、と小さく息を付いてから柔らかく笑みを浮かべると何処か得意げな返答を。それから相手がきちんと袖を摘まめているか確認するように僅かに腕を引いてみてから行く方向を探す様に視線を辺りに向けて)