赤の騎士 2017-03-01 00:05:01 |
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あら本当、指先だけでも温まると寒さも違ってくるわね。……ありがとう、とても温かいわ。
(髪の痛みなどあくまで後天的な要素、先天的な髪そのものの美しい色合いを損なうものとは思わなかったものの否定する相手を曲げてでも自身の価値観を掲げるつもりもなく、少々困ったように肩を竦めるだけに留めて。一先ずお互いの状況に聊かの不安点がいくつか存在することを確認したところで相手が目的地を合わせてくれたことにより行き先は同じ城へと確定、なんにせよ出口のない迷路を彷徨っていたような状況に一人の連れが現れたことはそれだけで至極心強く。寒さを身に感じていた己を気遣ってか相手が取り出した瓶を受け取ると恐る恐るといった様子ながら言われるままその栓を抜き、冷たかった瓶が徐々に仄かな温かさを帯び始めたことに小さく息を付くと、瓶の熱だけの話ではなく暗い森で一人心細さを抱えていた目前に現れた相手という他者の温もりに小さく感謝の念を零して。「__ひとつ提案なのだけれど、城までお互いをエスコートするのはどうかしら。私は貴方が真っ直ぐ歩けるように導く代わりに、貴方は私の足が痛まないよう支えるの」ふと此処で思いついたのは何も城への道を共に行くのならそれぞれの不安点を個人で担う必要などないということ、なれ合いと呼んでしまえばそれきりだろうがこんな場所で出会ったからこそこれからも相手との関係を築いていきたいがために彼に少しでも助力出来ればと思った次第で。そうして片手に仄かな熱を放つ瓶を携えたまま静かにもう片方の手を相手に差し出すと「……もし触れ合うのがお嫌なら、せめて私の袖を掴んで頂戴。まるでお互いの支え合いのように言ってしまったけれど……私は既に貴方に助けられているから、少しくらい恩返しをしたいところなの」些か控えめな相手からするに手を取ることに戸惑われることも予測してだろう、異国の文化を色濃く感じさせる長くたっぷりとした袖を軽く揺らしながら言葉を続け。支え合うことこそ叶わなくともせめて相手の夜目の代わりになれれば、恩返しとの言葉と共に片手にある瓶を掲げて見せれば少し悪戯っぽい言葉で相手を誘い)
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