赤の騎士 2017-03-01 00:05:01 |
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お世辞は止めろヨ。傷み切って綺麗なんかじゃねぇンだ(伝えられた名前を頭の中で一度反復、繰り返して確認の意味を込めその名を一度呼び返すのは何だか照れ臭く出来ず、指先で癖の強い髪を摘まむ様に一束持てば自嘲をするように肩を竦ませて。あわよくば、なんて不純な動機を重ねていた問いかけに対する答えが戻されると唇をへの字に結び、片方の口角を落としては如何するかと考え込む様に"ガシガシ"と後頭部を掻き毟り。然しここから遊園地を目指すよりも城の方が近い事を彼女の城と言う単語から導き出せば頭を掻いていた手をずるりと下し「……。足、大丈夫かァ?城ならそー遠くねェから連れてってやるけどヨ。俺も今あんまし目が見えねェから真直ぐ行けるか自信がねぇんだわ」城が遠かろうが近かろうが夜道に少女を一人残して早々と場を後にするような冷酷さは持ち合わせていないが、何よりも如何せん心配なのは慣れていたとしても狭まる視界で相手の事を無駄に歩かせてしまう事で。先ずは確認を取るべくその一声を向けて「俺も、……。今日は城に泊めて貰って明日お天道サマが顔出してから遊園地に帰るとするョ」何も無理して遊園地を探してこれから先何度も転ぶ必要はないじゃないか!そう考えが切り替われば早く、目的地を自宅から城へ変えて。夜風が冷たければ何か羽織れる物を、と気配りが出来れど渡せるものが無く(持ち合わせていたとしてもそれをスムーズに渡す事は出来ないのだが)ハッと思い出したように購入した菓子類が入る紙袋を漁り、林檎ジュースが瓶に入ったものを取り出せば眉尻を落とした困った雰囲気ながら我ながら言い閃きだと自画自賛するべく自信で口元に笑みを浮かべ「コレ。カイロ代わりくらいには役立つぜ。蓋抜いたら中身が熱くなるから、だから少しは寒さが誤魔化せる」蓋を抜くまでは飽く迄も普通の冷たいままの中身だが、それの利用道を説明すると"やるヨ"と一声を共に指先が相手に触れてしまわないようにギリギリの先を持ち折り曲げた指先で差し出して)
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