《　朽ち行く速度　／　〆　》

夢は叶わないからこそ美しいのよ、なあんて。叶える為に藻掻くくせにね、（　視線の先を閉ざす様に伏せた睫毛、芝居滲みた動きで顔を横に振り　）まあ、…御免なさい小狐丸。貴方の心を傷付けてしまって居たのね。人の身を得たと分かった心積もりで、何も分かって居なかったのは私やも知れない。許して頂戴、如何か其の複雑な感情全てを受け入れるに余る此の小さな心を。少しずつしか貴方の思いを受け止められない事を。（　ぱちり瞬く音が聞こえて、我に帰る。覚悟の無い接触に刹那身を揺らせど、直様目尻を落として笑みを零しては困惑にも似た表情を浮かべて。瞳を閉じ思い描くは暖かな色を携えた彼の毛並。心地良い声色に喉を鳴らして笑って。　）まるで尽くされて居る様で困ってしまうね、小狐丸は屹度素敵な旦那さんになれるわ。さ、やらねば成らぬ事も幾つか置いたまヽになっているし、部屋に戻りましょうか。


（　／いえいえ、矢張りかの様に言って下さるのは迚も嬉しい物です。唯言葉を受け取るばかりでは如何せん乗せられやすい者でして、鼻を伸ばしてしまいます。如何か少し厳しいばかりで大丈夫ですので、びしばしと。何方の意見も当方の頭からは到底捻り出す事の叶わぬ物で戦慄すらしております。無論やり易い方でとは雖も、混沌の道が好きと仰るならば後者の方が良いのやも知れません。御相手様にばかりさせてしまうのは少々申し訳有りませんので出来る事が有りましたら何なりと。ふと思い付いた物なのですが、現世に何かしらの心残りが有る等如何でしょう。将又小狐丸を顕現させて居ない他の審神者に御相手様の小狐丸が言い寄られる様に嫉妬するなど、此方から其方への愛も描写出来ればと思っております。お褒めの言葉を頂き有り余る光栄、簡素ながら画で想像出来るのはより楽しみが増しますね。　）