悲しき鬼 2017-02-12 20:26:59 |
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気に入って貰えて良かった、──さあ、好きなだけ楽しんでおいで…束の間の、夢を。
(相手の様子に優しい微笑み零しながら庭に駆けていく相手の背を見送り、小さく呟いて。目の届く範囲で楽しそうに庭を満喫する相手の様子見ながら一度自室へと戻ると書物を持って戻って来て、再び縁側へと腰掛ける。分厚い書物には鬼の種族に関する史実などが書かれている──目当ての頁を見つけては、自分を苦しめている問題をなんとか解決する糸口となることが書かれてはいないかと細かい文字に視線を滑らせて行き。自分の種族によって引き起こされた数々の災いを記す文字を追う青は、先ほどまで相手に向けられていた優しい色ではなく何処と無く冷たいもので。人間の心を喰らう以外に、自分を苦しみから解放する術はないのかと書物を読み漁るようになってからどれ程の年月が経っただろう、自室には各方面から探して来た様々な書物が積み上げられている──ふと、顔を上げて柔らかい陽射しの降り注ぐ庭を見つめて夜など来なければ良い、と思いながら相手の遊ぶ姿を見て目を細め。)
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