悲しき鬼 2017-02-12 20:26:59 |
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(相手が小さく笑みを溢すのに、心なしか安堵して。近づく気配に頭を上げれば、優し気な表情が目に映りようやくこちらも表情を和ませる。おいで、と誘う声に頭の何処かでは、ここを離れなければという危機感もあるものの。ただ一言の拒絶の言葉も出ずに、誘われるまま、彼の後ろを着いて歩いた。通されたのは美しい庭をゆっくりと眺められそうな屋敷の縁側。促されるまま、腰を下して辺りを見回す。彼が愛おしそうに視線を向ける先、聳え立つ立派な大木を注視すれば、つける花は藤の様な、桜にも似た不思議な形と色合い。見た事もないそれは唯々美しくて。思わずぽつり、声を落とす。)ここの花…そこの木も、そうだけれど。とても綺麗ね。あなたが、育てているの…?
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