球 技 の 王 子 様 ( 相互 / nl / 排.庭.籠 )

【　文月　】

人事を尽くす…か、確かにその通りだね。これからは授業サボらないようにしようかな。
──わあ、良いね。毎日のことだからおは朝師匠が居ると安心するなぁ。…私は天秤座だよ。緑間くんは何座？
(　人事尽くす、なんて彼らしい言葉だと内心感銘を受けて。外見からしてかなりストイックなオーラを醸し出しているもののそれは彼が人事を尽くしているからこそのものだったのかと、そして相手に比べて己は今までの人生で人事を尽くした事と言えばバレエくらいだろうか、ふともう少し他の物事にも真剣に向き合ってみても良いのではないかと上記をぼそりと呟き。明日からも彼と話す話題が出来るという事実に緩みそうになった頬をそのままにシェアについて肯定の意味で頷いては自身の星座を述べて此方からも問いかけてみたり。運命、その言葉にどきりと心臓が跳ねるも何故だかそれが心地良く、運命だと良いな、なんて小さく口にするも気恥ずかしさから視線を下へ向けると視界に入ったのはテーピングを巻いた骨張った左手で唐突に「緑間くんの手は素敵な手だね、想像出来ないくらいの努力と繊細さと…厳しさと優しさがいっぱい詰まってるみたい」と柔らかい笑みを浮かべるもどうしようもなく触れたい衝動に駆られてしまい、恐る恐る腕を伸ばせばテーピング越しの相手の指先に己の手で触れて撫でる様に絡ませてみて　)


【　花宮　】

そうだ、なら万引き犯は大人しく連行されるべきだろ。
──ハッ、何のメリットもねェのに優しくなんてする訳ねェだろうが。そもそも騙される方が悪いんだよ、正直者はバカを見るって言うだろ？
(　此方に慣れてきた頃か、やけにフランクになって来た態度や口調に一瞬相手をちらりと見遣るものの如何してか不快ではなく、寧ろ案外面白い奴だと自然と歩幅が緩まり歩くスピードが落ちた事は自分でも気付いていない。状況が状況なので仕方のないことだが猫を被っていないありのままの自分で女子と言葉を交わす機会はあまりなく、大抵の人間は怖いだの裏切られただの尻尾を巻いて逃げ帰るところが彼女はそもそも己に対してそこまでの好感を始めから抱いていなかったらしく、好都合だとばかりにまるで物語の悪役の如く振舞って見せて。少なくとも耳障りな黄色い歓声や己を信じて疑わない無責任な期待の視線を向けられずに済むだけマシだ、笑顔を貼り付けるのはとうに慣れているものの、やはり素のままに憎まれ口を叩いているのが楽なのは確かで、自身の発言に対して割と素直に質問を投げかけて来る相手を横目にくく、と喉を鳴らして笑えば「ちょっとは自分で考えろバァカ。こんな時間から行く場所なんて…一つしかねェよなァ？」なんてからかう意味で不気味に含みを持たせて述べるも、目的地の体育館が見えて来ると早々と扉に手を掛けて　)