ぬし。 2017-02-11 19:54:57 |
通報 |
【 文月 】
ふむふむ、そうなんだね。それを聞くと今までラッキーアイテムを持たずに生活をしてたことが恐ろしく思えて来たよ。──よし、明日から緑間くんみたいに持つようにしてみるね?
( ラッキーアイテムの話になった途端饒舌になった彼の一語一句真剣に頷きつつ聞くと徐々に説得力を増して行き、何処か納得した様に明日からラッキーアイテム宣言をするものの内心相手と共通の話題が出来る事を片隅で意識しており。そうだ、共通の話題を手に入れた暁にはほんの少しで良いから彼と距離を縮める勇気を出そう。向かいの椅子に座ったのを確認すると優しい日の光に静かな音楽室、そして目の前には想いを寄せる彼が居る、予想していなかったこの上ない幸せに目を細めては今まで己が相手に抱いていたイメージとは程遠い優しい台詞にぎゅう、と胸が締め付けられる感覚に浸りつつほんの少しでも自身に距離を抱いていてくれたという事実に報われた心が心地良い。綺麗な緑色の瞳をじいっと見つめ、そしてふわりと微笑みを浮かべ「本当?嬉しいなぁ。でも不思議だね、昨日まで話した事もなかったのに…神様の巡り合わせみたい」なんて普段ならこんなロマンチックな事を口にすることはないがこの瞬間は何故か素直にそう思えて )
【 花宮 】
ふはっ、理由は何だろうと盗み聞きする方が悪いんだよバァカ。お前は万引き犯が"好きで万引きした訳じゃない"っつったらはいそうですかって信じんのか?
( この期に及んで生意気な奴だ、と思うと同時に完全なだんまりよりは言い返して来る方が退屈せずに済むと偉そうに鼻を鳴らしてはバァカ、なんてお決まりの台詞を吐けば得意の屁理屈をつらつらと並べるものの先程の険しい表情が幾らか親しみを覚えるものにはなって来た、と言っても彼女の発言を馬鹿にする様な憎たらしい笑みには違いなく。脳裏の片隅で着いて来るとは思っていたものの彼女の態度からして断られる可能性も充分にあった為、意外だとでも言いたげな怪訝な表情を浮かべては相手の背中を追い越す勢いで後を追い、一先ず教室の扉を引き廊下へ出ると窓の外は緋色の夕日が辺りを赤く染めており、その影響で自身等もすっかり夕日色に照らされ何とも言い表せない気分になり「…賢い選択だな。まぁ悪い様にはしねェよ、多分。─着いて来い」と無愛想気味に述べると制服のポケットに手を突っ込み明後日の方向を向きながら、一連の流れで時間を食っている為部活はもう始まっているだろうと目的地の体育館へと歩き始めて )
トピック検索 |