風人 2017-02-09 19:49:33 |
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機動戦士ガンダム 第08MS小隊(全三巻)/原作 矢立肇 著 大河内一楼/角川スニーカー文庫
同名OVAのノベライズ。
物語の大筋はアニメ版と同じだが主人公シロー・アマダを慕うゲリラの少女キキたちの戦争に巻き込まれた民間人たちの描写が痛切なまでにリアルに書かれている。
民間人にとっては連邦もジオンも関係なくただ戦争の被害者ということ。キキたち村人たちは生きるために武器を取り麻薬を栽培し両軍から被害を受けないように生きる姿が涙を誘い考えさせられる。
一方の本来の主人公シロー・アマダは正義感溢れる人物として書かれているが劇中プロパガンダドラマ『キャプテン・ジョー』にヒーロー的に憧れるが後に自分たち連邦軍がキキの村で正義とは思えない愚行に走ったことにより一時は自らを喪失するほどに失意する。
またヒロインアイナ・サハリンも兄のためと自らを言い聞かせながらモビルアーマーアプラサスに搭乗し戦うが宇宙でシローに出会ったことをきっかけに本来の自分をシローとの再会から少しずつ取り戻し兄への思いが間違いだったことに気づく。
戦争をおこなう軍人たちまたゲリラとはいえ民間人から見た戦争という行為の在り方。
敵味方に分かれながら互いを慕うシローとアイナ。シローに振り向いてもらえないキキなど。
また08MS小隊の個性ある面々やモビルスーツ乗りとして命を懸ける軍人ノリスの人生。
『ガンダム』という形ではあるが戦争映画もののように描写されてる点が多々ありいろいろ考えさせられる作品である。
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