風人 2017-02-09 19:49:33 |
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機動戦士ガンダムF91 クロスボーン・バンガード(上)(下)/富野由悠季/角川スニーカー文庫
同名アニメ映画のノベライズ。
だが上巻にクロスボーン・バンガード結成やヒロインセシリー・フェアチャイルド(ベラ・ロナ)の生い立ちやブッホ・コンツェルンの経緯など劇場映画では語られなかった面が強調され物語に深みを持たせている。
またロナ家側だけでなく主人公シーブック・アノーのアノー家側も彼の両親の離婚の経緯などが物語に組み込まれ後々の家庭修復に繋がる伏線となっている。
宇宙世紀という時代が百年を越えても家庭や男女の理解や不一致などがドラマや現実のように交錯するなかクロスボーン・バンガードは決起する。
また主人公シーブック・アノーとセシリー・フェアチャイルドが知り合う経緯や学園のトトカルチョ(ミスコンの賭け)などクロスボーン決起以前は学園生活もそこそこ書かれ彼らが比較的健全な学生とわかるのもおもしろい。
本作のテーマは“家庭”というのがアノー家、ロナ家を対比させ書かれるがそれまでの富野由悠季作品とちがい前向きなことが挙げられる。
それらは離婚したとしてもシーブックの両親レズリー、モニカ共に愛すべき点はありシーブックと妹リィズが健やかに育ったといえる点がりシーブックにいたっては物語上やや急展開ではあるが敵クロスボーンの女王になる寸前だったセシリーを救い受け入れる包容力があったといえなくもない。
またクロスボーンもしくは鉄仮面の非情な策略にクロスボーンに属しながらも怒りをおぼえるザビーネなどもまっとうな青年として書かれてもいる点も好感である。
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