風人 2017-02-09 19:49:33 |
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伝説巨神イデオン1覚醒編 2胎動編 3発動編/富野由悠季/角川文庫
『ガンダム』に続いての富野由悠季による『伝説巨神イデオン』。
『ガンダム』シリーズが人と人のわかりあいを書いているのに対し『イデオン』は互いに故郷を“地球”と呼ぶ異なる地球人とバッフ・クランとのわかりあえない物語。
主人公ユウキ・コスモたちはティーンエイジャーらしく感情がやや発露しやすい一面もあるが物語が進むにつれ“イデ”とは何かなぜ地球人とバッフ・クランがソロ星で出会う運命だったか謎を解いてゆく。
だが『イデオン』においてはわかり合えるのはソロ・シップに乗るごくわずかな地球人とバッフ・クランだけ。
執拗に追撃され故郷の地球からも見放されるソロ・シップ。
業から逃れられない互いの地球人たち。カララ・アジバの父ドバ・アジバに代表されるように父としてのエゴあるいは肉体があるが故からか、物語はいろいろな人物を通してイデの覚醒やエゴを見てゆく。
しかし“イデ”が如何なる手段を用いても互いにわかりあうことがない。
物語は“イデ”の力がわかりあえないまま解放し主要人物たちはおろか互いの地球さえも滅ぶ顛末。“イデ”自体も業に縛られていたのではないかと。
壮大なSFテーマや哲学にまで当時のアニメ作品としてはまさに異例だが小説版では三巻と短い構成ながら『ガンダム』よりは丁寧に書かれている印象。
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