風人 2017-02-09 19:49:33 |
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ナニワ・モンスター/海堂尊/新潮文庫
海堂尊氏による『桜宮サーガ』新章第一弾。
浪速府から発したインフルエンザウィルス『キャメル』による混乱に端を発した浪速府への経済封鎖。
物語は一介の町医者から浪速府に赴任した切れ者検察鎌形そして浪速府知事村雨弘殻、さらに彦根新吾を通してなぜインフルエンザウィルス『キャメル』が浪速府に発生し経済封鎖をされたかを書いてゆく物語。
ただし通称カマイタチ鎌形を主人公にした第二章においては検察を主軸とした物語で霞ヶ関厚労省へのガサ入れを書いた物語だが実はこのガサ入れ自体も彦根新吾による助言が村雨府知事を通して伝わったものと最終章に明らかになる。
本作はインフルエンザウィルスが使い方によっては地方地域への経済封鎖となる一種のシミュレーションでありまた中央対地方の戦いでもある。
『桜宮サーガ』シリーズ内でもたびたび出てくるドクタージェット構想、日本三分計画、医療庁の旗揚げなどが明確にはっきりしている作品でもある。ただしあくまでも本作ではそれらは布石止まりであることは留意のこと。
一種の医療シミュレーションでもありまた中央対地方の戦いの物語といえる。
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