侑帆 2017-02-04 17:40:49 |
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[ 虹色日記帳 ]
4月7日( 月 )晴れ
いよいよ入学式、柴田からでて念願の一人暮らしが始まって数日たつ。ここ、櫻木団地での生活は充実していてお隣の橘さんご一家にも良くして貰っていて昨日貰ったお浸しと肉じゃがはとっても美味しかったなぁ。子供さんが2人いるらしいけどどんな子だろう、早く会ってみたい。きっと橘さんに似ていて暖かい人なんだろうな。
今日も1日頑張ろう。
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握っていたペンを置いて椅子の上で伸びをし真新しい日記帳を満足げに見つめる。椅子から立ち上がり机に転がっているシャープペンシルに消しゴムを掴んで無地の黒い筆箱に入れて通学鞄に放り込みクローゼットを開き掛けている制服に手を伸ばし消臭剤が少々鼻につきつつも着て鏡を見つめればしみじみと高校生になったことを感じ。時計を見れば7時45分、通学鞄を掴み取り靴をはいて一呼吸。玄関の扉を勢い良く開けると爽やかな微風が部屋に入り込む。隣の扉の開く音が耳に入れば少し瞳を輝かせ元気の良い挨拶をかえす、
「ー…おはようございます、橘さんっ!」
だけどそこにいたのは昨夜笑顔でお浸しと肉じゃがを渡してくれた優しい笑みの彼女ではなく、
「…おはようございます」
ランドセルをかるった黒髪の男の子。
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改めまして、おはようございます。申し遅れました、私田舎の柴田という町からここ都会にある櫻木街に上京してきました、月城日向と言います。今日から櫻木高等学校の一年生です。引っ越してきた時から優しく接してくれたお隣の橘さん(奥様)にはとても良くしてもらっているのですが、今お隣にいる橘さん(お子さん)の目つきがとてつもなく恐ろしいです。挨拶をしただけなのに、凄い冷ややかな目線にビビりまくっている私です。取りあえず遅刻が怖いのでこのまま素通りしても良いですかね?
ビクビクと自身の家の前で佇んでいればまたまた扉が開き出てきたのは、明るい茶色の髪の男の子。
「ー…夜空ぁっ、勝手に行くなよなぁっ!んあっ、おはようございまあす!」
元気の良い挨拶が沈黙状態の2人の間に響く。
…えっと、この子も橘さんのお子さん?此方は可愛らしい年相応な男の子ですね。
でも2人して廊下を房がないで下さい、遅刻しちゃいます。
あたふたとしているものの仲良く話している2人の間は通れずどうしたものかと勇気を出して声をかけようと擦ればまた扉があき、
「おい、時間やばいんじゃないのかもう8時なんぞ~?って、あっ、日向ちゃんおはよう。」
スーツ姿の男の方は橘さんの夫さんは紳士な姿で奥さんは何時も格好いいと昨日おかずを渡してきた時に話してくれた。でも私は知ってる。引っ越しのお手伝いをしてくれた時夫さんは話してくれた、毎日奥さんが可愛いってこと。似たもの夫婦だなとぼんやり考えていたもののこの状況をどうしたものかと思考を戻し途方にくれていれば此方の状況に気づいたか夫さんは気を使ってくれたのか、
「日向ちゃん良かったら車で送ってあげるよ?」
「ええっ、いえいえ大丈夫ですよっ!」
「でも入学式から遅刻するのは…」
その言葉を聞き急いで腕時計を確認すればもう8時。今からダッシュで行っても確実に遅刻。さあっと顔が暗くなり申しわけなさそうに一言。
「…すみません」
「大丈夫だよ、さっ行こうか!朝日、夜空さっさと行くぞ!」
うう…申し訳ないぃぃ……!
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