この細胞の全てが君の血を求めている
本能と理性が今__狂おしく揺れる
__ Tales __
深い森の奥に存在する洋館は、いつ崩れても可笑しく無い廃墟である。
窓は割れ、外観には蔦が絡まり、壁は欠ける。隙間風が入り込み、窓から靡くワイン色のカーテンは破け解れているのだ。
幼子の父親がまだ幼子だったころ、その父親もが未だ幼子だったころ、延々と続く繰り返しの間、見目変わらずにその館は存在している。
過去に何度も、何度も、何度も、取り壊しの案が出ては取り壊しを引き受けた人だけならず、指示を出した人間までもが言葉通り姿を消した。
何時の日か、森の洋館には魔物が住むと言い伝えのように話は変化し___今では森に誰もが近付かなくなったのだ。
森を降りた先に有るのは、閉鎖的な環境の寂れた村。
其処に住まうのは言い伝えや仕来りを心から信じる哀れで愛しき人間。
言いつけに背いたから、あなたは此処に来てしまったのか。
「 愛しくて愛しくて、今もまだ君を求め彷徨ってしまう 」
永遠に続く夜__越えて…
某曲の世界観を使用しています