とある政府役人 2016-12-14 22:21:37 |
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……なるほど、そんなふうに、
(主の考えを完璧に推し量ることはできないものの、全く知らない相手よりは、ある程度見知った相手の方が良いだろう、といった考えだと予想して。そして、自分自身と同じ刀を捧げる理由は至って単純だ、希少性があまり高くはない上、相手の空腹の度合いがどのようになっているのかはわからないが、小さな短刀等よりも腹が膨れそうだ、というもの。それだけではないけれど。置いた刀を鞘から抜き、勢いよく食らいつく彼をじっと見つめて上記のように口を開き。頷いて主への報告を頭のなかでまとめながら、相手の口の端しからこぼれる赤には、軽く眉をしかめる。刃物を食らうのだ、考えてみれば当然のことではあったのだけれど。はい、と言いながら、白い手拭いを一枚差し出して。「痛いだろう?あとで、主君に頼んで手入れしてもらおうか」笑顔を浮かべて、口の端から血を流して放心した様子の彼へ声をかけ、少しだけ部屋に入らせてもらい、相手の手から燭台切光忠を回収する。「それじゃあ、またね」襖を閉じて立ち上がった自分は、声をかけられない限り、もう依り代にすらならない刀だったものを持って主の方へと向かおうと)
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