とある政府役人 2016-12-14 22:21:37 |
通報 |
………あ
(目の前に差し出された二つの『食事』に、殆ど無意識にごくりと生唾を飲み込む。数秒間まばたきも忘れて刀と白い腕を凝視していたが、すぐに理性が帰って来ては小さく後ずさり、片手で口元を抑える。審神者が自分のことをよく知る刀にその役目を命じたのは何故か。そして、目の前にいる彼がそれを引き受け、躊躇無く自身と同じ刀とその血を捧げようとするのは何故か。どうしても答えに行き着く事が出来ず、空腹感と溢れる衝動は強まる一方。何もかもが限界だ。これ以上は、気が狂いそうになる。だから早く、早く食べないと。段々と思考を蝕み始めたそれに、せめて彼自身を傷付けたくはないとなけなしの理性が抗った結果、伸ばした手が取ったのは燭台切光忠の本体たる刀。相手が見ていることも忘れて鞘から刃を抜き、美しい刀身に迷い無くかじりつく。バキ、と音を立てて呆気なく刀身が折れ、砕かれた刃が口内を傷付け、口端から血が流れるのも厭わずに飲み込む。「……ははっ…」と、思わず口から漏れた笑い声は自身を嘲笑するもので、折れてしまった燭台切光忠を力無く手にしたまま「…もう、いいだろう。今日はこれで充分だ…」と虚ろな声音で呟いては、放って置いてくれと言わんばかりに視線を下に落としており)
トピック検索 |