岬 2016-10-10 17:43:47 |
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守れなくて…守れなくてごめん、
( 頬を伝う涙をそっと拭う。泣かないと決めた筈なのに自然と溢れ出すそれは一度出てしまうと暫く止まないもので。彼女の形見とも言える矢を強い力で握り締め己の胸にそっと当てると、よく言い争っていた過去が鮮明に思い出される。 )
──。
( ぼんやりと地平線を眺めた後、己の髪を結く片方の白いリボンを徐に解く。いつだったか同部隊に編成され同室になったとき、布で兎を作る方法を彼女は教えてくれた。よく聞いていた筈なのだが、視界がぼやけているのと記憶が曖昧なのとで掌には歪な形をした兎が居り。しかし片方を解いたせいで可笑しな髪型になった少女は、それを愛おしそうに指先で撫でた後、唇に優しく触れさせると安らかに彼女が眠っているであろう平和になった海へと放り投げ。 )
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