焼きソーば 2016-09-12 03:19:13 ID:f9e4b1cb2 |
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「あ、ついたわよカリンちゃんー」
そんなアスラの声を聞いて私は幌から顔を出す。って、あれ?意識もしてないのに一人称が「私」になってる気がする……まぁいっか。この姿的にはその方が楽だし。
時刻は真昼。太陽が憎いぐらい暑い。
そんなこんなで私が見た光景は、高い城壁。
数十メートルはあるかなというくらいの大きさを誇っていて、街全体を囲っているようだ。
城門は開け放たれていて、通行許可をもらうために荷物検査をしている行商人や旅人がズラリと列をなしていた。
「私達はこっちね」
アスラはそういうと、全く人がいないやや小さめの門へと向かった。どうやらここは国である一定の地位を受けたもの達が許可なしで通れるVIP専用通路的な門らしい。
予想通り、アスラは見張りの兵士に手を軽くあげただけで馬車ごと門を通り抜けた。
「さて、どうしようかしらね。とりあえず生徒証も発行しなきゃならないから、まずは学園に向かいますか」
街に入った瞬間、いきなり付近の通行人から注目された。まぁ、馬で中に入ってるからね……
話によれば、もう寮生は寮に入っているらしい。個人部屋か複数の人数が入れる大部屋かどちらになるかは運次第だという。でも……
(ちょっと待ってくれよ……女子寮とか勘弁だからね……)
一応転成したとは言っても、男子である。幸い個人部屋には風呂とかは付いているらしいのだが……
「アスラさん、私の部屋は……」
「あぁ、カリンちゃんは個人部屋ね。今年は大部屋希望が多くて……」
よかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。本気で死ぬかと思った……(精神的な意味で)
「ついたわよ」という言葉と共に、アスラが手綱を下ろして馬車から飛び降りた。
私もアタフタしながら幌から出る。
「ふぁ……」
学園は黒いフェンスで囲まれてあった。今私たちがいる正面玄関前には二つのペガサスを形どった像が左右対称に置かれてある。木々に遮られてあまり見えないが、校舎と思しき建物も複数個見えた。
「はい、アスラです。玄関前の馬の片付けお願いね」
突然アスラが宙に向かって喋り始める。恐らく魔法を使っているのだろう。
「さ、まずはあなたのステータスとかを測りにいくわよ」
「あ、はい」
私はアスラにひきづられるようにして門をくぐるのであった。
「よし、じゃぁここに手を乗せてみてくれる?」
アスラは校舎の一室に私を連れていくと、一冊の本を取り出してそう言った。
私はその指示に従って手をゆっくりと本の上におく。すると、本の上に青い薄い板のようなものが現れた。
…………しばらくの沈黙。そして……
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「ど、どうしたんですか!?」
いきなりアスラが大声をあげたのでビックリした。アスラが見ていた本のの上に表示された板を見ると……
【カリン・イース】 ランクSSS+ レベル1 所持スキル数 ?
うわ、最初からSSS+かよっ!?
「こ、これは前代未聞……やはり私の目は間違っていなかったわね……」
動揺しながらそんなことを言うアスラ。
ランクは上にいけば行くほど個人の強さを表すものでもあるため、SSS+ということはつまり……
(チート……か)
とりあえず死ぬようなことはこれでほぼないことがわかったので良かった。
さて、折角だし異世界学園ライフ楽しんじゃいますか。
(最初は完全チートで行こうと決めていたこの小説。50話超えた現在はメッチャ成長系に変わってるんだよなぁ)
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