焼きソーば 2016-09-12 03:19:13 ID:f9e4b1cb2 |
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チェシャさんありがとうございます(笑)
なんかさっきからこの女の人にずっとジロジロと見られている。観察されているようでなんだか気味が悪い。
「あ……アスラさん、こんにちは……えっと、この子は……」
おばさん改めメルさんが女の人改めアスラさんにどうにま説明しようとする。
するとアスラさんは眼鏡を左手の中指で素早く上げると、今度は右の人差し指を勢い良く私に突き立てた。
「只者ではない魔力! そしてこの容姿! 私の魔法学園に歓迎しようっ!」
「ま、魔法学園にっ!?」
その言葉に反応したのはメルさん。めをまん丸に大きく見開いてアスラさんの方を見ている。
ちょっと目力凄いんですけど……怖いんですけど。
「魔法学園って、そんなにすごいものなんですか?」
ちょっとだけ気になった私がそう言うと、メルさんは息を荒げると早口になって喋り始めた。
「凄いなんてもんじゃないわよ! 魔法学園には各国の要人の子供や貴族の子供達、それに【神の加護】を持つものがそこらかしこにいるんだから! それに嫌でも能力が高くなるし、魔法学園卒業ってだけでかなり重要視されるわ。それに国としての資格を得られるしあとは__________」
「そうそう。貴族とのコミュニケーションもとれるしね」
長くなりそうなメルさんの言葉を遮ってアスラさんも言う。
簡単にいえば魔法学園とは『将来王宮の騎士や高官を目指す者などを育成する教育機関』らしい。事実、この国の有名人は学園出身であることが多いとか。
魔法学園は案外悪くないかもしれない。お金もかからず寮もついているらしいし。
「アスラさんは学園の学園長なのよ。ま、まぁとりあえず中にどうぞ。貴女もね」
あ、学園長先生でしたかぁ……。こんな人が学園長で大丈夫なのかちょっと心配だけど。
私が旅人と言ったことに少し安堵したのか、メルさんは私に対して様付けをのけたようだった。
私とアスラさんはメルさんに連れられて、木製のテーブルセットに座る。
しばらくするとお茶のようなものをメルさんが持ってくると、話が始まった。
「それで……あなたのお名前と親、それに年齢を教えてもらってもいい?」
「あぁ……はい。ぼ……私の名前は【カリン・イース】です。年齢は16で……」
危ない危ない。姿が女なのに「僕」なんて言ったら変に思われてしまう。……いや、ボクッ娘とかそういう変な説が生まれるだけか。嫌だな……
カリンのゲームの中での設定は確か16歳であったはずだ。まぁ、身長的的なことも考えるとそんなに疑われないと思う。
「親は……」
なんて言おう。異世界とかそんな概念ないだろうし、ないと言っても不審がられるだろうし。
「あぁそうそうアスラさん、この子は今日そこに倒れてたの。旅人だそうだから……」
メルさんが微笑みながらそう言う。
「今日…………というか、旅人ならその服装は歩きにくいんじゃない?」
「まぁまぁ……。こんな上等な服をきているんだから生まれの血筋がいいことは明らかよ。歩きにくいとは思うけど、何か理由があるんだったら仕方ないわ。なんにせよこの子なら安心よ」
「まぁ、メルさんが言うならいっか。……よし、最後はカリンちゃん、君が行きたいかどうかだよ?」
アスラさんが私の方をじっと見つめる。
え、どうするかって?もう答えは決まってる。メルさんに迷惑をかけるわけにもいかないし、どっちにしろこの世界で生きていく術は身につけなければいかない。
そこまで考えると私ははっきりと言い切った。
「行きます」
私はこの日、明後日に開かれる【アスラ魔法学園入学式】に正式に出ることとなった。
それからは少し時間があるとのことで、近くを散歩していたりして時間を消費したり農作業を手伝ってみたりしていた。
その後はメルさんに見送られ、アスラさんが乗ってきた幌馬車に乗って【王都】へ向かうことに。
うん、まぁ今のところ異世界暮らしに問題なし。とりあえずあとは典型的な【最強】目指すのみ!
……あとできればだけど一度家に帰って友達に最後の挨拶くらいしておきたいね。
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