月 2016-09-03 18:33:52 |
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織の言葉は鯉か織と糸、どちらに向けたものなのだろう。
風が肌寒くなり、織と銀色が各々自室に戻ったのは、そのすぐ後の事だった。
『少し疲れたから休んでくるよ』と言って立ち去った織を思い、銀色は客室の庭を見つめる。
やはり、織は寂しいのだろうか。
もしかしたら糸も、そう思っているのかもしれない。
もし銀色が此処に残れば、その寂しさは僅かでも埋まるのだろうか。
屋敷の中から出ることが叶わなくても、少しでも彼らの心が満たされるならそれでも良いかもしれない。
ぼんやりと考えていた銀色に、睡魔が訪れていく。
瞼が重くなり、静かな眠りが銀色の思考を隠すのにさほど時間はかからなかった。
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