月 2016-09-03 18:33:52 |
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凪の答えを確認すると、桜夜は再び枷に触れ、凪の耳元で囁いた。
「ありがとう頷いてくれて、断られたら俺、このまま凪の首に手をかけていたかもしれないな」
桜夜の声は優しく、微笑を含んだ声なのに、なぜ凪の元に響く頃にはこんなにも冷たくなるのだろう。
金属音と供に外された口枷は、凪の拘束を解いたというのに、先ほどよりも凪自身を縛るこの感覚は何なのだろう。
「ありがとう桜夜、楽になったよ」
「そっかよかった。あ、そうだ、凪、お腹空いてない?昨日から何も食べてないよね」
桜夜に礼を言うと、唐突な言葉をかけられ、凪は自身の空腹感を思い出した。
「あ、俺も忘れてた。でもさ、その前に喉乾いたな」
空腹感と同時に凪を襲ってきた喉の乾きを、桜夜に苦笑いを浮かべ伝える。
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