月 2016-09-03 18:33:52 |
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思い出したのは170年ほど前の事。
銀色、別名『銀の主』は、一人縁側にて微睡んでいた。
「……むなしい」
空を見上げる銀の主の瞳には、寂しげな色が滲んでいる。
銀の主が住むこの屋敷は、元は森にある普通の古屋敷だった。
それを買い取り、魔力を増幅させる屋敷に変えたのが銀の主である。
銀の主がここに住んでいたのには訳があった。
妖人が住むこの世界では、妖力の強弱が重要となる。
そして銀の主の種族である『銀狼(ギンオオカミ)』は、妖力の強いと噂の黒猫を凌ぐと言われていた。
だがそれが銀の主は不満だった。
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