神技(シンギ) 2015-12-06 05:44:43 ID:e387a492e |
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俺の名前は──、今日は実家の遺品整理に
葱遊町(ねぎゆうちょう)へ帰って来た
…あ、駄菓子屋…懐かしいな
飴玉いっぱい、あの人と買ったっけ
思い出すな
昔の事
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「…あ、め?」
「うん、あなたも食べる?」
あるところに 一匹の狐が居た
狐は 雨を好んだ
「甘い飴はもっと好き」
狐はくすりと笑った
それが日常だった
「本当の親の顔がわからない」
あれを言った時から、少しずつ、
歯車が軋んでいく
「…あなたの親、知ってるかも」
「すごく、醜くて、短気で…人間らしい、黒い奴だった気がするわ」
腹が立った 何故か、 腹が立った
きっと違う 絶対 そんなはず
「あなたに何がわかるんですか!?」
…あ、
「あなたも」
「本当の親に夢を見るのは止しなさい」
うるさい、
…あ、
ごめんなさい
湯呑み割っちゃった
「こんな汚くてぼろ臭い場所二度と来るか!!」
ごめんなさい
思ってない言葉が、あふれる
ごめんなさい
あの神社は、ぼろ臭くなんか無い
汚くなんか無い
はず、だったのに
「日常は崩れる物だヨ」
誰かが言った
「…女の子だったら、雨音に、男の子だったら…──にしようかしらね」
綺麗な髪の、腹に子を持つ母を見て
狐は哀しげに俯く
「あなたの嘘と引き換えに」
交換、とは言えない
一方的な押し付けになってしまっただろうか
「あやかしと人は合わない、分かるだろう?」
そんなこと知ってる、でも
「…言い訳はいらない」
嗚呼、ごめんなさい
「アヤマレバ、誤ル」
…ごめ、なさい
「雨音と千歳、交換子」
雨音は土見、千歳は空見
「あの子は欲しい、あの狐(コ)はいらない」
不幸な人狐は、自分と交換された相手に会った
「羨ましいな」
「憎たらしいな」
「ねえ、千歳さん…私にも……幸せ…頂戴よ」
ごめんなさい
貴女の笑顔が見たかったのに
泣かせるつもりじゃなかったのに
空回り
苦しい
お願い
謝らせて
…おや、天気雨だ
視界はぼやけているのに
空は、真っ青だ
おかしいな。
そうだ、この地に寄った記念にあの神社へ行ってみよう
…あれ?
「あ、すいません」
「いえ、これ落としましたよ」
神社に植えてあった
…採れたての梅の香り
「あ、その、どこかでお会いしましたか?」
「いえ………………覚えて無いですね」
「そう、ですか」
…綺麗な髪に
綺麗な着物
梅の香りに、長い睫毛が色っぽい横顔
狐にでも 化かされたかな
──────────
ぽつり、と深夜に雨音ちゃんを好きな誰かが主人公の何かきったない何か
因みに雨音ちゃんは様々な場所に居ます
駄菓子屋 喫茶店 古いレストラン 明治にありそうな本屋 神社
…レトロチックな場所を好む様だな
あ、感想返しは次回(
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