神技(シンギ) 2015-12-06 05:44:43 ID:e387a492e |
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感想代わりの小説です。
ところどころキャラ崩壊しているかも知れません。すいません。
「(クソッタレ、あの女たらし何処に行きやがった…!!人を呼びつけておいていないってのはどういう了見だ、コラ)」
騒々しくも一定のリズムを刻む町。
多種多様の人種が行き来し各々が各々の目的を持って往来する。
そんな人と音の海を歩く。
銀髪を揺らし不機嫌そうに人探しに赴く少年・木枯煉。
「(大体、アイツら全員集まる気あんのか?集まるときは俺が一人一人回収して行くとかふざけんなよ!こちとらゴミ収集車じゃねーんだ!!不法投棄すんぞ…。)」
舌打ちを鳴らしながら辺りを見回し、目標を探す。
相手は紫の髪色という比較的目立つ格好をしているため視界にさえ入ればすぐに見つかるのだがいかんせんこの人海だ。
多少なりとも時間は掛かる。
……煉としては人探しのし過ぎてその都度その都度見つける速度が上がっていてので悩みの種になりつつあるのだが。
「すたー…ばっくすだったか?あのコーヒー屋でナンパでもしてやがってみろその場で壁と一つにしてやる。」
というか呼び出し方からして腹が立っていた。
『そういや君暇だよね?暇なんだからちょっと迎えに来てくんない?』
煉が暇であることを決定付けての要求。
普段の態度から気に食わない部分はあったがこうもあからさまだと流石の煉も身体に訴えた方が良いのではないのかと思ってしまう。
「(あの野郎のことだ。『君の暇を潰してあげるんだ、早く来るのが通りだろ?』とか言い出すんだろうな…。右フッ、いや出会い頭のボディの方が良いか。)」
『距離を詰めてのアッパーカット?ここは金的に蹴りもアリだな。』などと反骨の意を漏らしながら下を向いて歩いているとあることに気づく。
「(鉄、じゃない。これは…血か?しかも結構な量だ。致死量には至らねえが普通に大怪我だな。)」
立ち止まり上を向いて少し考えると異臭の方向へと踵を返す。
彼が存外、人情に暑い人間であったのもそうだが多少なりとも待ち人への意趣返しの意もあった。
そう考えていると自然と足も早まっていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
匂いの元を追って辿り着いたのは赤黒い液体に満たされた事件現場、ではなかった。
何ともない多構造駐車場。
ガソリンの刺激臭が鼻孔に刺さり追ってきた異臭を霞ませるが彼の嗅覚はブレさせない。
「(まあ匂いからは察してがそれほどエグい状態じゃねえみたいだな。怪我人は、と。……………あ?)」
暗がりに目も慣れてきた辺りで目的とは別のモノに気付いた煉。
整列された車両の間から顔を覗かせる光源。
しかし光源、といっても懐中電灯や電子機器ではなく何の偏屈もないただのガラスだ。
天井部よる漏れだした光がガラスに反射していただけだった。
「んだよ。未知の生命体Xとかじゃねえかよ。っておいおい、ガラス片多過ぎだろ。車道から離れてなきゃ問題だぞ、おい。」
光を反射していたガラスは極少数だったが少し角度を変えるだけで車両の死角になっていた陰から大量のガラス片が現れる。
ガラス片だけでは無い。
フラスコ、ピペット、ガラス管、蒸留器。
小学校や中学校などの教育機関に置いてあるような簡易的な実験用具が無作法に散乱していた。
「小学生かそこらのガキのイタズラか?それにこの匂いは水か?しかも不純物が一切混じってねえ。」
ガラス片とともにぶちまけられていた液体が無害だと認知すると肩透かしを食らったような気分になりその場から離れ怪我人を探す。
匂いの元は奥の非常階段の近くから強くなっている。
足取りを早め、光源より離れた暗闇に向かって進み
「あー、また来たんスか?今度は何するんスかぁ?もう水責めはゴメンッスよー。」
手錠に繋がれた少女を見つけた。
身体中水浸しになり目も少し赤く腫れ上がっており、手錠は非常階段のドアノブと繋がれている。
そして肩からはドクドクと赤黒い液体が流れていた。
「(犯罪の匂いしかしねぇ…。マジかよ、少女誘拐の現場に立ち合うとか穏やかじゃねぇ…。)」
おもわず眉間にシワを寄せながら渇いた笑いが出てしまう。
警察様に連絡して一応の為、救急車も呼ぼうとすると少女より声が飛ぶ。
「警察、はちょっとやめて貰っていいッスか?」
「そうは言っても犯罪に巻き込まれんだし、一応だよ。一応。」
「学校とか親とかには自分で報告するんでマジ、大丈夫なんッスよ。傷もそんなに深くないし」
あんま学には詳しくねーから分かんねーけど、内申とか関わってくんのか?と適当に事故解釈を進めると携帯を戻し、彼女の手錠を外す。
簡易的な止血をし何とか手を貸して立ち上がらせると入り口の方へと歩いていく。
だがその途中に変化があった。
行きに見たガラス片の隣を通った時、煉の右腕をひんやりとした感覚が撫でる。
「冷て、ッッッッ!?痛ってぇぇ!!?んだぁ、こりゃあ!!」
見ると右腕に透明の大小様々な矛が突き刺さっていた。
矛の投擲手を探し目で辿っていくが其所には人一人居なかった。
フラスコとともぶちまけられた水が変形し矛を成していた。
明らかに現代技術では測れない。液体中にナノマシンを埋め込んだなどでは説明がつかない。
ーーーー異能。
普段ならここで相対するのだが、いかんせん術者が見当たらない。それに少女を巻き込む訳にはいかない。
「おい、とりあえず外に出るぞ。」
言うだけ言うと隣で立っていた少女を掴み脇に挟むと出口まで駆ける。
走り始めにズリュ、と右腕から無理矢理異物が引き抜かれる感覚があったが気にも止めず疾駆する。
出口まで10メートル。
後ろから迫る水の矛をサイドステップでかわす。
「(不意打ちさえなけりゃ問題ねえよ。ストリートバスケ舐めんな。)」
出口に差し掛かる瞬間、鼻に意識を向け駐車場内の情報を取り込む。
呼気、排泄物、分泌液、膨大ともいえる情報を取り込みある結論を導く。
「この駐車場にいるのはテメェだけだよ!水使い野郎!!」
『伏せろ!』とだけ少女に投げ掛け下ろす。
そして身体を捻り遠心力により生み出された速度を左腕に込め元いた駐車場に打ち付ける。
鉄骨から震動が伝わっていき壁面にヒビを入れ、ことごとく瓦解させる。
土煙が舞い、建物が一つに潰える。
「ざまぁw生きてたとしても全身複雑骨折だろうよ。っと、大丈夫…ってもういねぇのかよ。」
水色のハンカチに『ありがとう』とだけ書いてあるのを見ると苦笑を溢す煉。
「ちゃんと病院いけよ、あと親にはキッチリ話せ。」
ハンカチを拾い上げると小声を漏らし、待ち人の方へと向かう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「やあ、遅かったじゃないか。ワンちゃん。」
「わざとだよ、糞野郎。やっぱテメー、コーヒー屋にいやがったな。」
「可愛い娘がいたからね。うん?怪我してんの?めっちゃダサいね。」
「ナンパ野郎は**。怪我に関してはどうってことはねーよ。お前の髪型並みにはダサいけどな。」
「イヌミミも相当って、爆発?しかもかなりデカイね。」
「(あの方向ってさっきの駐車場の…)」
gdgdですいません。
何気にコラボになっています。やっぱり男気あるキャラは新鮮ですね。いい経験になりました。
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