かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(夢と現実とは時に交わる物なのか、常識じゃ汲み切れない事こそが有るからこそリアリティに欠ける物なのだ。彼の夢を見た、目の前には彼がいる。己と言う人格は欲深く心臓が痙攣する程この日常に喜び震えているのだ、焦がれていた憧憬が手の届く距離にある。気を抜けば欲に逆らうことなくズルリズルリと流されて手を伸ばしてしまいそうになるのだから浅ましい限り。リビングへ誘導しようとしていた思考は外に出ると話題がトントン拍子に変化していることでスッカリ姿を消して、意見を挟む隙を一つと与えられない事で気づいた頃には洗面所。鏡越しに映るのを見るのは己の事ではなく、いつもよりも幾分か血色の悪い彼の顔色で。"今日は寝ていた方が"と恐らく家を空ける為に無理を祟ったのでは無いか、見当違いとも知らずに推測のまま眉尻を目一杯に落として困り眉の表情のまま何か言葉を上げることの無いまま閉じてしまった扉を棒然とばかり数部秒ほど見つめて。蛇口をひねりザアーと勢いよく出てくる冷たい水に指先を触れさせ、頭を一層と鮮明に、加えて不純な気持ちを思わないように己を律する為、キンキンと冷たい水を顔にパシャリとぶつける様に当てて。冷たい水が前髪ごと顔を濡らすと傍に置いてあるタオルを寄せて水の滴る顔を拭い、此処で初めて体内に燻ぶる思いを共に吐き出す為"フー"と肺の息を全て押し出して。着慣れた服に腕を通せば寝癖で普段よりもうねる髪を申し訳程度に整えて、外へ出ると言っていた。その言葉を思い出すように外出用の中折れハットを頭に被せて扉を開き、足取りは依然変わらず引き摺るような覇気の無い雰囲気で「坊ちゃん、__気分が悪いなら買って来よう。坊ちゃんは寝ていても」己とは自分で思っていた以上に彼の事を魅入り記憶していたのだと知る、物音のするリビングに足を進めそこで再び見つけた彼の顔色はやはり世辞にも良いと言えるものじゃ無く、不純な頭を覚ますのに慣れない人込みとは良い罰じゃないかと不慣れな気遣いを潜めるような遠慮がちの声色で告げて)
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