かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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…!わ、もう起きてしまったんですか?それとも、起こしてしまいました…?
(静寂に鋭いナイフを刺すような唐突さに肩を跳ねさせて挽きかけの珈琲豆が僅かに零れ。声の主へと視線を向ければ非常にゆったりとした足取りでこちらへ向かって来るではないか、その定まらない声色に目覚めたばかりなのだと察し、覚束無いその身を下ろすまでハラハラしながら両手を伸ばして転倒の防止をはかり。憂慮する己とは対象的に、喜びを隠す事無く表情へ表した様子に思わず息を止めて脳裏に収める様に食い入るように彼を見つめ。「…先生?」既に癖気味の瞳に覆い被さる前髪が、更に寝癖としてうねり顔の半分を占めているがもっと見たいと思ってしまう。高鳴る心臓、頬の内側が熱い。自然に伸びた指先が彼の前髪をはけようと触れた刹那、はっと我に返りその指先を丸め。寝起きとはいえ、意識がはっきりしていない内に触れるなど寝起きを襲うようなものだと自らに言い聞かせ疚しい感情を吐き出すように咳払いを一つ。「先生が居なければ今頃野垂れ死にしていました。明日からは大変ですよ、まずは美味しい朝食から食べてもらわないと…だから今はもう少し休みましょう。」瞳を細めて微笑を浮かべては角の無い柔らかな声色で。髪に触れる代わりに彼の肩へ片手を乗せ撫で下ろし。起床するにはまだ早過ぎる時刻、小鳥の声一つ無い。彼の意識がまだ朦朧としている間に再び夢の中へと送ろう。先に立ち上がれば彼の肩を支えるように身体を起こしそっと耳元で"行きましょう"と囁き、寝室へ向かうべく方向転換をし)
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