かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(限られた選択に背ばかり向けてはいられない日が来るとは重々承知しているも、美徳など当に灰に返して今更掬ってやるつもりは微塵も無く。清濁併せの世の中で多少の蜜を啜ったとしても誰も咎めまい、少なからず彼が直接的に制裁を受ける事はきっと有り得ない。世間の関心に躍らされてばかりでは死んでも死にきれぬであろう、後悔はしたくないのだ。_____己の思いとは裏腹に、世間に忠実な彼はその身を引き剥がして掌から逃れて行く。理解している事を他者がもう一度口にして煩わしく感じるあの感覚が身に纏い心が軋むように痛み。「__…いつでも来る、か。」彼なりの配慮だと脳は理解しているが、"夢の様な日々を君と離れないで生きてみたい"など歯の浮くような台詞はこの現状ではとうに語れる口では無い。いつの間にか曇天から降り注ぐにわか雨に人々の活気溢れる声は薄まり、代わりに騒音の自動車が行き交って流れた時間を悟る。「なら、日を改めて伺う事にします。今度は先生が安心して受け入れられるよう万全を整えてもう一度、"家出"をするので」彼の不安を根こそぎ引き抜けば、伸し掛る責任感を振り落とし、二度目と瞳に不安を浮かべずにいられるのではないかと思い立ち提案をぶつける。宛ら名案だと言わんばかりに胸を張るが、一応落ち着いたままの状態で賛成を口にするか聞く為に首を傾け「"家出"といっても数日家を空けると予め言うから…いいでしょう?」もう一押しするよう言葉を付け加えて今一度問いかけ)
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