かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
通報 |
(抱き締める腕に感じる暖かさと、顔を寄せた先に学帽から香るのは彼の物なのに色濃いインクの匂いばかり。そんな違和が心を乱すと心が波立ち騒いだままに落ち着きが消える、痛い位の心臓の動きを堪えながら抱くのは後悔の念ばかり。何故、どうして、我慢が出来なかったのだ。この口は我慢をせずに欲望を漏らしてしまったのか、もう一度と言葉を強請られたことでその思いは一層と強まりサーと血の気が引く。自責の念が激しく迫り、ワナワナと力なく乾燥した唇が震えを帯び。それでも正直な体は彼が優しい手で背を叩いてくれるその衝撃に簡単にも冷静さを取り戻してしまい、羞恥に染まる初々しさなんてとうに枯れてしまった。情けないまでに眉尻を深く下げ、爪などどうでも良いのだ。顔を背け彼を見る事なんて出来る筈も無く伏せた眼は壁を見つめて「___悪い、」本音を吐露した悔しさに口惜しさに掠れる声が紡ぐのは一つの謝罪、「こんな俺が好きになっちまって、……御免」気持ちを伝えてしまえば綺麗な思い出のままでもいられない、それでも逃げる場が無ければ伝える他が無く未練が糸を引いて切れないのにダラダラと口惜しみつつ生涯で最初で最後だろう愛の告白を、己に押さえつける様に腕に込めていた力もダラリと抜け落ち自己卑下に拍車が掛かり「俺はずっと坊ちゃんに、……坊ちゃんだけに恋をしてた」腕の中に有る温もりに浸ったままいっそ息が止まれば良いのだ、後悔と同等に、それ以上に浮かぶ焦れた恋心を燃やさんばかりに自嘲の笑みを口元に蓄えながら呟いて)
トピック検索 |