かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
通報 |
(えらく距離の縮んだ空間に緊迫した空気が溜まり淀んでいるように感じられる理由はきっと、彼の病的に青ざめた顔色と何かに非常に怯えた瞳に加え、己の卑しい鼓動が張り裂けんばかりに打つから。言われずとも一言も逃さぬつもりで傾けた耳に入るは想像を遥かに超えたもの。普段なら顔を背けたくなる筈の言葉も真っ直ぐに受け止めては、そう直ぐには思考が追いつかず、やや目元を険しくさせて唇を貝のようにぴったりと閉じて。「………」答えが出る頃には十分な時間が必要ではあったが、彼の言葉が己を自ら退散させる為の道具かそれとも長年内に秘めてきた赤黒い本音の想いか、どちらであってもそんな珍奇な理由で二年ぶり再会を泡とさせる気など毛頭に無い。淡い思い出の中の登場人物として終わらせてやるものか、彼の勇敢な告白は手放すまいとした固執の念を返って深めるばかり、哀れに思うも己に漬け込まれたのが最後だろう。「もう無関心で顔を見ると嫌悪するとでも言えば、諦めていましたが、惜しい事をしましたね。」悪質なのは己の方だ、彼が不純な想いを抱いていようがそれが己を否定するものでなければ、嬉しく感じられる。ついにおかしくなったのか?いや、これでもかと言う程正常である。「先生こそ早く助けを求めたらどうです。まあ最も、今からなんて到底間に合いませんが」二度と彼を置いて行った後悔を味わいたくは無い、二年もの間で己の中の彼の存在は随分変化してしまった。なんと名をつけて呼べば良いのだろう胸を締め付ける感情を露わに出来たら良いのにともどかしく、何とか伝えるべくして取った行動は後に懺悔するものとなり。____彼の頬骨の浮き上がった頬に手を添え、怯えた小鳥をあやすが如く撫でるようにして喉元まで滑り落とせば首に指を引っ掛け親指は彼の顎へと当て。垂れた瞳は艶目かしく感じられ愛おしく想う。易々とその首を引き寄せると震える唇をそっと塞ぎ)
トピック検索 |