かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(彼の肉体的な逃亡でなくとも闇の深まった視界が何を物語っているのかは猿でも理解出来よう。婉曲的な拒絶、この眼球にさえ嫌気がさしているのだろうか、はたまた有無を吐けないよう口枷のつもりか。円滑を欠くなど此の23年の間全く知る由も無かった、何も無い白紙の日々に色を付けたいのは一方的な願望で終わりを迎えようとしている。漸次緊張で地団駄していた脈拍は一段と深く底を突き抜けギシギシと軋んでは羨望した光景を剥がれ落として行く。この身を保つ力が少しでも衰えていたのならきっと震えていたかもしれないが微動だし無い身体はまるで石のように重く、終わらせる勇気が形づかず。幼少時代にこの感情を味わっておけば、訴えを呑み込む余裕はあったかもしれないが残された片腕を繋げたままでいるのは己が未だ未熟な人間であると証明している「____嫌だ。」本能が勝手に吐き出した言葉を自覚したのはその数秒後。「何故忘れないといけないのです。何故貴方以外の人間を考えなくてはならないのです。」胸の中では塞き止められ無くなった疚しい感情が細い隙間を通り抜けて喉へ打ち付け。見事な程の独善的発言に既に辟易しきっているかもしれないが、何も伝えずその場を去るなるなど後々己を厭悪しても足りまい。狭められた視界からもう一度瞳を見つけようと躙り寄るよう一歩。大股で近付けば握る手を心臓付近まで持ち上げ「その気になれば本気で追い返せるでしょう?俺は先生の弱さに漬け込み甘える男です。軽々と了承するなど考えないで下さい。厭ならば、この腕を振りほどいて大声を上げて助けを求めて下さい。」誰よりも慎ましい彼が自らを優先する事が出来ないと知った上で、浅ましい我欲を抑制する事を知らずに欲望を曝け出して)
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