かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(想定していた通り、彼が冷静さを取り戻したかと思えば告げるその一言。呟く様な程に声量は決して大きくないがそれでも的を得たそれに必要以上の言葉は無いが下唇に歯を立ててやり過ごし、そのまま誤魔化し時間を使おうと思う矢先彼との距離が縮まっており反射的にヒュと喉が締まり。その後は脳内を圧迫する自己嫌悪と大人気なかったと言う後悔に苛まれて遠くに聞こえる扉の締まる音をぼんやりと過ごし。其処からはどのように時間が過ぎて行ったのかが明確ではなく泥沼に足を取られてしまうかの如くジワリジワリと深みへ足を引っ張りこまれているようだと落ちて行く感情にそのまま茫然。彼を手にしたいと思うのは美しい物を傍に置いておきたい願望であり、自分と彼が逆の立場だと考えた時に自分のような得体の知れない男に抱きしめられる等と不愉快極まりないと痛感しては宥めようの無い気分の落ち込みに中々割り切れない、と足取り重く書斎への道を進み。彼が居なくなってから途端に脱力し力が抜けてしまった抜け殻のような体に疑問を見出す。折角未練を捨てやる為に彼を自由にしたと言うに、彼はどうしてまた"次"への切欠を残していくのかとやり場のない感情に不安と焦燥に駆られては先の嫌な汗とも違う発汗とズキンズキンと鐘を鳴らす頭痛が表れ、机の引き出しに横になる瓶を取り出せば中に入るアルコールを水代わりにゴクンゴクンと喉へ無理やり流し込みその痛みを和らげて。急に強いアルコールを喉に流した事でズンズンと重みを増す頭痛とそれよりもじくじくと体中に熱を生む高揚感に依存めいた安心感が確立し、不規則な生活は彼をアルコールに溺れた世界漬けにしてしまう。そこから数日、普段よりもアルコールの摂取量は増えており執筆する文章が上手く連ねられねば現実を逃げる様にまた瓶を開ける、今では酔っていない時と酔っている時の気の違いですらあやふやになりつつあるがショーケースには埃一つ被らない綺麗な鞄が一つと其処ばかりが彼の現実である事を示していて。なぜ自分がこうも彼のことで頭を悩ますのか、彼の美麗さを羨み渇望しただけだろうにと必要以上にと言えば語弊が有るが今まで思い抱いた事の無い高望みに頭が付いていかないとフツと気持ちの上下を繰り返し「わかンねぇ――あ゙ぁ゙…俺なら真平御免だ」酒焼けだろうかしゃがれる声で鞄を見やり呟くその声は執筆が思うように進まない時点で廃人間である虚ろな眼に映り)
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