かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(交感神経が興奮状態だと自身でも良く理解が出来る。あらゆる器官が突発的に浮かんだ感情により本来持つべき理性が麻痺を起こし子供の様に感覚的に動いてしまうのが現状況でも脳の一部、冷えた部分で感じ取れる。しかし最早此れまで、例え阿呆者と嘆かれようと構う事ないと取っ手を掴もうととした直後に予測していなかった事態に息を詰まらせ。既に開かれた唇を塞ぎ込んだ平たく筋ばんだ掌は、肺に溜めた二酸化炭素の出口を奪い喉元まで競り上がり胸が圧迫される感覚が生まれ。だが数秒して鼻から息が抜けて苦しみを味わったのはほんの一瞬の事、それだけでも内観するには十分すぎる程で。己はたかが意思表示で角が立つ心狭い人間だっただろうか。肺に溜まった空気が空になった頃、そうっと唇を塞ぐ掌を外し。「----先生は出会った頃から俺を怖がっていらっしゃる。」か細く呟いた後、新たに吸い込まれた空気は埃っぽいが新鮮で、重くなっていた頭がすっと軽くなったような気がし。それによって胸元でざわついていた騒ぎも徐々に引いていき、引き攣りそうな背筋の力も僅かに肩を下げる事によって抜いてしまい。このまま気が収まれば由となるも無駄に穿つ精神の発揮により振り返りざまに帯を掴むとくいっと子の手を引く様に、軽々と大人の身体を引き寄せ互いの服が当たるか当たらないか程近くへと寄り。目線の違う相手を見上げるも何故だか威圧を与えているのは此方のような錯覚になるのは未だに冷や汗を流す相手の様子からなのか。普段通りの口調で口元に薄く笑みを湛えると「もう時間ですね、玄関までお見送り有難う御座います。部屋に鞄を忘れてしまったので次回はそれを取りに来ます。」玄関に飾り程度に埋め込まれたステンドグラスから沈んでいく夕日の光が差し込み背後を照らし己の顔に影を作るのと同時に、相手の顔にはオレンジ色の鮮やかな色が照らし出され。重苦しい前髪の下は不健康ながらなかなか男前な顔をしている、そう考えている内に相手の顔にも影が現れ夕日は沈んでしまったのだと悟ると今までの騒ぎが嘘のように穏やかで滑らかな仕草で帯を離し浅く一礼。踵を翻して改めて取っ手を捻り)それじゃあ、お休みなさい。夜は冷えるので暖かくして寝てくださいね。
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