かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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――ぐ、う。(相手の笑い声が何を示しているのか、それは考える事無く明確に伝わり。自分が夢だと思っていたそれらが全部現実であったと言う事とそれに伴い夢に浸る言動の情けない事と心臓を絞られるような息苦しさに言葉は詰まり、蛙の鳴き声のように掠める声を上げて眉尻を尚々と下げ。何か文句の言葉を考えているその中で相手がキッチンに向って行った為その言葉は現実になる事が無くギィと寂れた音で扉が閉まるのを見届けて今この家にまた坊ちゃんが来ているのだと言う現実に冷静さを取り戻そうと長い息を吐き出して。それからベッドを降りると慣れた手つきで小瓶を一つ取り出して、中に入る錠剤を数個口に放り込めば相手がいる現状に気分を上げ下げさせないよう、安定を保つ為の暗示を込めつつ飲み込んで。相手が来るまでは埃だらけだった硝子が貼られる木造のショーケースは今ではスッカリと綺麗に磨かれていて、その中に入る相手の学帽に眉を上げれば「――危ね」と見つかっては気味悪がられるだろうとそれに関しては今更だと自覚が有るがそれでも発覚されては気恥ずかしいと大事に扱って居た事がばれぬように学帽を取り出しては文を連ねる机の、原稿用紙を纏めて入れる引き出しにしまい込んで。来客に飲物を出させるのは聊か心が痛んだが、それでもこうやって時間が稼げたことは有り難いと目じりを細めつつ、薬を飲んだばかりだから効いていないだけか、相手が来たことを知ってからどうも煩い心臓辺りに軽く触れて)
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