かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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………勿論……!
(後は別れを告げるのみそう口を開きかけた時、冷たい指先が手首に絡み付いたのに気付いて徐々に瞳を大きく見開きながら後ろに働きかける引力に促されるまま少しも連れながらも足を止めて振り返り。最初こそ何を伝えようてしているのかが分からず何度か瞬きを繰り返して連なる幾つもの言動からその真意を探ろうとして漸く誤魔化しの中に見え隠れする本心に辿り着くと唖然とした面持ちから瞳に輝きが現れ始め。まるで夜空浮かぶ星々を瞳一杯に注いだ様に煌々とさせて感情を剥き出しに声色にまで反映され。己との別れは当然淘汰な成り行きだと思い込んだ反動で、不器用ながらにも必死に己を食い止めようとする感情の揺れが休み無く並べられる言葉の一つ一つに焦りや動悸の速さまでもが伝わってくる様、悦に入るには十分過ぎる程で三高帽によって遮られた瞳を何時までも見つめ続け。「---…是非とも家まで送りたいのだけれど、門限が決まっているんです。此の道を真っ直ぐ行った所に川があるから沿っていけば見知った街並みに出ると思います。」出会いの余韻に浸るのは此処まで、家内が騒がしくなり始め自ずと己の表情も厳しさを保ち。背中を押すようにして細道まで誘導すると三高帽の下から覗き上げる形で闇に埋もれた瞳がある位置へ視線を向け人差し指で真っ直ぐ前を指差し「それじゃあ気を付けてお帰り下さい。……また。」声色は数時間前よりも柔らかさを帯びて、背を押す掌を手の甲からゆっくりと離していき最終的には惜しむ様に指先を離す、今回の出会いが無駄では無かったのだと念を押すように背後でぽつりと呟き掛けると踵を翻して音も無くその場を去り騒ぎが大事になる前に屋敷へと帰って。)
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