かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(手招き顔色を良くして付いて来るどころか最早死人のように蒼白した顔で後退る有様に小首を傾げて今暫く様子を見つめていようと無言のまま静寂を紡ぎ。芝生の上に落ちたステッキを合図に漸く身体を動かし屈むと片手でステッキを拾い取っ手に着いた土を叩くようにして払い退け。「そう、犬や猫を拾って帰る方がマシですか。俺は貴方が良ければ、と思ったんですけれどね。これじゃあ苦しめてばかりだ」片手を取ると拾い上げたステッキを握らせるように掌を重ねて指先に力を込めそっと離し。相手を正面からでは無く裏庭に連れて来たのも、頑丈なセキュリティシステムの前でうろうろとしていた様子に使用人達が騒ぎを立てるかもしれないと嫌な予感を回避した結果で、一様に相手の思う卑下の視線が飛び交う事が無いとは言えず。少し先走ってしまったかと自分らしく無い行為を思い返してヒートした脳を冷たい夜風が冷ましてゆき。良かれと思う最善の方法は何故だか相手を悩ましてしまう、こういった洒落た作法でしか感謝を表す事を知らない故に一体相手には何をすれば喜ぶのか案を出すのが非常に困難であり無意識に包みを握り締め。「やっぱりこれ、差し上げます。売れば高値が付きますよ。俺の方は新しいのを買えば良いだけなので。」徐ろに包みから学生帽を取り出すと目の前へと差し出し。ほんのりと微笑みかけ。きっと相手は売る事は無いだろうが思い出の品にでもなればそれはそれで光栄で有無を聞く前に先に元来た道を歩み出し扉を抜けると先程とは違う道へと出て)
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