かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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そうそう此れがないと一大事です。ふふ、何処で落としたんだか、…痛ッ!
(諂う事無く笑ったのは何時ぶりか、己でもそう思う程自然に出てしまった声に内心驚きさり気なく口元に手を遣って人様に見せるべきものでは無かったと訂正を加えつつもりで一笑。しかし自身の驚きを上回る出来事は相手から訪れ。それは此れまで笑う事すら忘れていたような負を纏った姿に常に青白く表情の変化が乏しい上、埃に埋もれたまさか男が笑い声を零した事。小さく隠された声でありながら、苦笑の混じれた声からは親しみ易さが感じ取れる。惚けた振りをしつつ早速指摘しようとした刹那、風を弾く音と共に額の中心部分一点に衝撃が走り突発的な反射で両目を固く瞑り。そしてじんわりと広がる地味な痛み、決して飛び上がる程痛い訳では無いがそうでない訳でも無い。詰まる所諂笑に変わり、指先で個所を摩りながら珍しい光景を焼き付けるが如く笑う瞳をじっと眺め。「ほら、ね。やっぱり外に出た方がいいでしょう?髪だって月明かりに染まってとても綺麗だ。此処だと星は見えないけれど、さっきよりずっと貴方の顔を見る事ができます。」軽く咳払いをし身を引き締め姿勢を正すと瞳を捉えたまま、相手の瞳を覆って見せぬように隠してしまう前髪に指先を触れさせそっと開き、瞳へ月明かりが差し込むように仕向け。やはり濡れ鼠の様な格好の下は女房の一人や二人、いてもおかしく無いような整った顔立ちで。唯一惜しいのが不健康さを露わにさせる隈。此れさえなければ身に脂肪が付いて無くても顔だけで乗り切れる筈だろうに、前髪を分けていた手を離したのはそれらの考えが最終的な答えを出してしまったから。もう少し我儘に付き合わせ話し相手にさせておきたい。そんな欲が脳裏に生まれてしまった直後、はっと我に返って乱暴に包みを受け取るという八つ当たりめいた行動を起こしてしまい。「……、あぁそうだ。折角来てくれたんです、上がっていきましょうよ。」間を縫う為に浮かべた他人行儀な表情と態度で草叢から抜けようと手招きし)
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