かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(鼻を啜るように短くスンと息を吸い込めば夕暮れ時の切ないが美しいこの短い時だけの特別な少し肌寒い空気が鼻腔を擽り、この秋の香りの中混じるように現れた彼は何処までも現実味が無い自分で形容するには聊か頂けないが奇人である自分の事を目の当たりにして尚自分と離れたがらないその要望に頭痛すら覚えて。チカチカと目の奥が痛くなるような案内役に露骨な程嫌がる表情を浮かべれば「善人になりてぇとも思わない、最高の持て成しを受けるには教養が足りない。よってお断りだ」吸い込んだ息をふーうとため息交じりに長く吐き出して、然し相手の身分が相当だと言う事はその身なりや先ほど提示された金額から嫌と知っており「今の時間じゃ見つからないようにと言うのはさぞ難しいダロ。もう少し、そうだなァ…せめてあの忙しない男達が見えなくなるまで、――焼け爛れたみたいに真赤な夕日が消えるまでこの家を貸してやるよ。」相手に向けていた伏し目がちの瞳を移動させるように顔ごと少しの日差しを与える幌の隙間に向けて、別に彼を送り届けたって構わないが考えを繰り返す度にそれは無謀だと知る事になり、自分が外を出歩けば悪い意味合いで嫌でも注目を浴びる事など百も承知だからこそ暗くなるまでの時間潰しを提案して)
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