かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(白々しい弁明に肯首するには後一歩足りず、顔を押され離されるまで勘繰る目つきで両眼を覗き。独り身には広過ぎる屋敷に、よもやたった一人で暮らしているとは思わずに同居人の存在を想像して相手以上の奇人は実在するのかと離された直後の数秒の間思考回路を働かして。ならば先程とった行為は奇人らしい何らかの理由で日常茶飯事行われているのかもしれない、はたまたこの街ではスキンシップが和解の動作なのか。答弁がない限り自己解釈に委ねるもののいまいち結論付けが出来ぬ状態で、指先に促されるまま扉の方へと視線をやり。「探索は是非ともしたい。けれど、俺一人じゃ部屋の区別が付きませんよ。ちゃんと貴方が誘導してくれないと」関心は幽霊が存在しない屋敷の構造よりも出会ったばかりでいきなり疑問をの植え付けた相手が持つ独自の性質そのものが興味の対象となっていて。口振りでは一部肯定を語るものの次に出る返答を気に掛け片眉を上げ。ふと窓へと視線をやると閉ざされた幌の隙間から零れる日差しがオレンジ色に染まっていて夕焼け空が直ぐ向こう側に広がっている事を知る。街路は帰宅ラッシュで人々が屯しているのだろう、杞憂な使用人は今頃抜け出した己を探し回っているに違いない。少し立ち寄るつもりがターゲットを見つけてしまったのだから仕方が無い。眼前に佇む男を一瞥し、浮かんだアイデアは余計な錯誤を考えずにいつの間にか言葉として)いい事を思いつきました、貴方は善人なる事が出来る。それでいて此方にもメリットがある。俺を誰にも見つからないように家に届けて下さいな、そうしたらとびっきりの持て成しが出来る。
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