かっぱ 2015-10-08 14:54:24 |
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(素人としては安易に万年筆とインクにより文字となった物語が原稿用紙上に引き詰め合っているのだと想像を膨らませるばかりで実際に何が扉の向こうで起きている等想像も付かない。きっと眼前に現れた彼に残酷非道な言葉を投げ掛けるだろうが知るまでは食い止める術も無い、少し先の己は現在の己に制裁を与えたくて堪らなくなるのはこの少し後の事。天井からぶらりぶら下がるアンティーク調のランプどもが均等な位置で薄暗いオレンジ色の明かりを放ち漆喰壁をぼんやり照らしては、形ある物全ての影を落として無機質模様を廊下一面に広げ己の存在でさえこの空間に調和させる。変わらない漫ろ心で動かない影を眺めている横で夕飯の一つである汁物の蓋の淵を蒸気が濡らし確実に熱を放出しているのが良く分かる。あまり冷めすぎては食材の新鮮度や旨味、品格が剥がれてしまうとそろそろ台所に戻ろうかと脳裏を過ぎったその束の間、扉の置くから己に向かって投げれた言葉をこの耳は逃す事無く鼓膜を震わし。芒とした脳から我に返って始めて現実の輪から片足を踏み出した沈黙者と化しいた事に気付き、慌ててトレーを抱えて立ち上がると今まで塞き止められていた血液がどっと下肢に向かって流れ落ちる感覚と共にぐらつく視界、もたつく足元は絡み合い脳の片隅で起立性低血圧を引き起こしたと理解するも既に遅すぎた。「______あっ!」体幹を支える二本の足は何の役にも立たずに膝は曲がり扉に向かって重心は倒れる一瞬の間スローモーションの様にトレーからは夕飯どもが水面から飛び上がる魚の如く宙に浮かびランプのオレンジ色が水滴に反射しギラギラと輝きを放って目と鼻先で踊り狂う。まるで自由を謳歌する舞のよう。彼が扉に手を掛けている事すら考える間も無く身体を支える為だけに瞬時に手に掛けたドアノブは本来の機能を果たして書斎への入口を容赦無く開け放ち、余計な形で再び対面する事となり。舞い上がった夕食達は被さるように身体へと落ちてゆく。彼にまで被害を広めたか確認もままなら無いまま唯一の支えを失った身体は開け放たれた扉の向こう側へと倒れる他無く、無慈悲にも星の重力には逆らう事が出来無い事を改めて知る事となり)
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