〜〜 2015-10-03 01:51:43 |
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…人間風情が手当したところで治せるもんじゃねぇよ。
(目的等は無いと、そう答えた相手の声が何処か先程までとは違う色を持って響いた事に気付けばその表情も同様にまるで何を考えているのか分からない極めて人間らしい物で。一方的に向ける殺意がいっそ馬鹿馬鹿しくなるまでに他意の無い己の傷の治療を申し出る眼差しは、やはり胸元にじわりと染み込み微かな痛みを伴う。信じてなんかやらないが、もう身を任せてしまっても良いのかもしれない。現状に流されそう考えてしまっている脳裏は、生への希望等は欠片も生じず寧ろ手放してしまっても良いとさえ思える程の諦観の塊で占拠されており。どちらにせよ今となっては抵抗できる程の体力も無く、煮えるような邪を見せ付けていた視線も弱々しく伏せられて。疼く傷がそう知らせるように、魔導師によって込められた呪いは本人を殺めても尚傷口に絡み付き解ける気配さえ見せない。仮に相手が同じく魔導師であったとしても禍々しく残った怨念は消える事無く報いを植え付けるのだろう。肩に掛けていた手を重力に従ってだらりと下ろすと力無く瞼を下ろし、自ら体を支える事さえ億劫になってしまうと肩に添えられた相手の手に半ば体重を預けるようにして。吐く言葉こそ皮肉めいて嘲るような物ではあるが、相手に身を委ねている仕草からも暗に治療を容認した物であり)
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