〜〜 2015-10-03 01:51:43 |
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ッ、触んな…!
(相手の吐く言葉全てが傷を抉るように胸元に突き刺さり、愚かにも手を取ってしまった過去の消し去りたい記憶がフラッシュバックする。耳を塞ぎたくなる衝動を紛らすように掴んだ手を強く引き寄せるまでは良かったのだが、その表情に笑みを読み取った瞬間背筋を走る恐怖が体内をじわりと侵し鋭い視線が揺らぐなり怯んだように目を伏せようとして。だがそれすらも叶う暇無く体に回る腕を咄嗟に振り払う事が出来なかったのは、恐らく恐怖心が先立って体が動かなかった所為なのだろう。気付けば人間特有の柔らかい体温に包まれ、それが今の己には底知れない恐怖と擦り変わり。張り上げた声は情けなく震え、惜しみ無く動揺を露にしている。生きる事なんてとっくに諦めたはずが滲む怯えは死への拒絶をはっきりと示しており、そんな自らが心底臆病者に思え自己嫌悪に吐き気すら感じる。咄嗟に両手を相手の肩に掛け引き剥がそうと力を込めるが、その刹那巡った血液がまるで傷口を脈動させるようにドクンと疼き焼け付くような熱を生じさせ。あまりの激痛に表情を歪め奥歯を噛み締めると、指先に力を込める事さえできず最早その手は意味無く相手の肩に置いただけで。人間相手に何と情けない姿を晒しているのか己の有り様を思い浮かべると屈辱と絶望ばかりが沸き上がり、やはりその感情は思い知る程に憎悪に変わって行き。それらしい抵抗こそできないが肩に置いたままの手はせめてもの抵抗の意思を示しており、再度伏せた瞼を荒い呼吸の度に微かに震わせ。何を言われた所で人間の言葉など一寸たりとも信じる気はない。憎しみと殺意に渦巻くどす黒い物を含んだ視線を遣れば尚も疑いの言葉を口にし)
…何が目的だ。
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