〜〜 2015-10-03 01:51:43 |
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< Story so far >
「 人間じゃない、それがどうした?此処は心を癒す場所だ。種族は関係無いさ。 」
静かな草原の片隅にひっそりと建つこじんまりした家。そう、他でもない俺の家だ。鋭い目を細め、先程から此方を睨みつけて来る悪魔は、どこか怯えている様に思えてならない。
だが、此処に辿り着いたということは人間だろうとそうでなかろうと、運命に引き寄せられ出逢うべくして出逢ったに違いない。そんなロマンチスト気取りな思考をかき消したのは目の前の悪魔を名乗る彼だった。
『 うるせえ…いつだってそうだ、人間ってのは。気持ちわりい仮面つけやがって、本当は俺を殺してぇんだろ?殺せよ…早く…。 』
そう言って大きな黒々とした羽で全身を護る様に覆うと、震えていた左腕の生々しい傷は視界から遮断された。
ひんやりとした羽に指先だけ触れてみるものの反応は無く、ゆっくりと漆黒に額を擦り当てては瞼を閉じると、ぴくりと羽が動いたのが伝わって来たので、昔旅先で出逢った老婆の言葉を思い出した。そう、愛についてだ。
「 おいで。 」
愛を持って接することを誓ったばかりだからか、自分でも驚くほど優しい声が出た。
硬く防衛していた黒いそれから力が抜けて柔らかくなったかと思えば、隙間から目を見開き酷く驚いた様子の彼の顔が見えたのだ。
──再度、人間の愚かさを痛感して暫く経った後、その悪魔を名乗る男を家に招き入れた。
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