YUKI 2015-09-20 23:21:52 |
通報 |
「でも、私貴方を好きかなんてまだ分からないわ」
伏せ目がちで申し訳なさそうに私は呟く。
「別にいい、見返りがほしい訳じゃないからな」
私を見つめ夜冬は微笑みながら呟く。
「それよりも、此処を抜け出す方法だが明日、俺はこの店に火を放つ。とわいえ、すぐに燃える訳じゃない。火薬を使って時限発火装置を作る。それをこの店の裏に仕掛け、俺はこの店の客として貴方の部屋に向かい、火事の中隙を見て貴方と逃げる」
凛とした顔で夜冬は私を見つめ、しっかりとした口調で話す。
「きっと火事のさなかなら、皆が外に逃げる。その中なら逃げきれるはずだ」
夜冬は心配ないと言わんばかりの顔で笑う。
「でも、それって夜冬にも危険があるわ」
不安な顔し、夜冬を見つめ私は言った。
「多少の危険があっても椿を外に出してやれるなら価値はあるさ」
夜冬は笑いながら椿を抱きしめる。
「あ、ありがとう」
私は頬を染めながら、夜冬の胸の中で礼を述べた。
「とにかく、明日また来るから身支度を整えて、待っていてくれ」
夜冬はそう言うと立ち上がり身支度を整え始めた。
私も夜冬の身支度を整えるのを手伝い、最後に後ろから抱きついた。
「待ってる。でも、無理はしないで」
トピック検索 |