YUKI 2015-09-20 23:21:52 |
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「そんな目で見るなよ、分かってるよそんなことは。でも、もしも出られるとしたら出たいかって聞いているんだ」
目線の意図が分かったらしく、夜冬は拗ねたように言い、なおかつ私に聞いてくる。
「そうね。もしもの話なんて意味がないかもしれないけど、出れるなら出てみたいわ」
私は窓の外を悲しそうに見つめ、ため息混じりで応えた。
しばらく静まり返った部屋の中で、一階から女将の声が聞こえる。
「そろそろ時間切れのようね」と悲しげに私は夜冬へ声をかけた。
「あぁ、もう時間か。また明日来る。それまでに考えといてくれ」
夜冬は身支度を整え、私を見つめ優しく髪を撫でて言う。
「わかったわ」と私は一言述べ、「お客さんのお帰りー」と一階に聞こえるように言った。
「じゃあ、また明日来る」
たった一言残し夜冬は店を後にした。
そしてその後私はその晩数人の客を相手にしながら、明日また来ると言った夜冬を思い明日を待ちながら眠りにつく。
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