SS小説(著者別2本立て)

SS小説(著者別2本立て)

YUKI  2015-09-20 23:21:52 
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※ここはSS小説の部屋です。
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※なお、勝手に参加する真似はお止めください。著者はすでに決まっていますので、よろしくお願いいたします



では、一本目は僭越ながらYUKIが書かせていただきます

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  • No.21 by アマツ  2015-09-23 00:37:24 

【第一章『目覚めの森』】
_________________

何かが、背中の上で動いている。
起き上がって目を開くと、目の前にリスがいた。
「う、うわわっ!」
僕は慌てて立ち上がる。けれど、目の前のリスは動じない。何だこいつ?
「……ここは……」
視線をリスから外し、周囲を見回す。
辺り一面、木と草だらけの森だ。僕以外、人は見当たらない。
「一体、何なんだ……?」
僕はさっきまで研究所にいたはずだ。
そこで«永久不滅の結晶»(エターナル・クリスタル)の次元共振実験の最中、原因不明のシステム暴走が発生し、反次元暴走を引き起こした。
メインジェネレーターのエネルギー総量が測定不能の臨界値まで上がったことから、きっと高い次元レベルで歪みが発生しただろう。そこにエターナルというトリガー的存在があったため、何かしらの現象が起こった、という感じで何かがあったのだろう。きっとそうだ。そうに違いない。
………だってそうじゃないとここが天国になってしまう。
「それだけは嫌だなぁ………」
今年で17歳になったばかりの僕には、天国はまだ早すぎる。というか、『遅かれ早かれ』でも、天国なんてお断りだ。
「はぁ……天国なんかじゃありませんように……」
半ば本気で祈りつつ、歩き出す。
まずは、この森から出なければ。どれだけ広くても、じっとしてるわけにはいかない。何事も前進あるのみ、だ。
それに、せめて川か泉くらいは見つけなければ、喉が渇いて死んでしまうだろう。
食料は木の実や何かを見つけたられればいい。幸い、植物の知識はそれなりにある。
「全く……本当に何が起こったんだよ……」
着ていた白衣を整えて歩き出す。
すると、ズボンに何かがしがみついてきた。
見てみると、さっきのリスがいた。
「何だ?一緒に行きたいのかい?んー………ま、いっか。ほら、おいで。」
僕が手を差し出すと、リスは一気に肩まで登った。
「さて、行くか……」
こうして僕は歩き始めた。
どこかわからない森の中で、とにかく生きることを最優先にして。大袈裟かもしれないが、この森の雰囲気がそんな考えをさせる。
一体、どれだけ歩けば森を抜けられるだろう……?


◇ ◇ ◇


………マジでどれだけ歩いただろう?
一時間か、二時間か。もしかしたらそれ以上かもしれないし、それ以下かもしれない。
時間の感覚が薄れると共に、とうとう限界が訪れた。

「ぐはぁぁ~~~……もう無理ッ!も、もう死にそ……」
とにかく喉が渇いて仕方ない。
研究所で水分補給をしようとしたときにあの騒ぎがあったから、まともに水分補給できていない。
そんな状態で長続きするわけがなかった。
あのときしっかり水分を摂っておけば良かったと後悔するが、後の祭りなので意味がない。それに、誰がこんな状況になることを予測できようか?できるなら神様か、それともこうなることを事前に知らされている人だけだ。
「あー………うー………」
そろそろ本気でまずい。
身体が急激に重くなり、その場に大の字でうつ伏せになる。
もう指先一本動かせる気がしない。
真面目にヤバイかもしれないというか確実にヤバイ。もう眠いし。多分寝たら本当に天国生きだ。ここが天国じゃなければ。

ああ、うん。ダメだ。眠い。疲れた。
もう無理に決まっている。
諦めよう。

そう思って、目を閉じたそのときだった。

「………大丈夫?」
「………………ぇ…?」

僕は目を開き、そして見た。
日の光に照らされて、白銀に輝く美しく長い髪をした、美しい少女を。
「……て……天、使……?」


◇ ◇ ◇


沈黙。
私は、足下に大の字で転がる男の人を見下ろす。
男の人は、白衣に、赤いフレームのメガネをしていて、黒い髪は短い。
多分、研究所にいた人間だろう。
男の人の頭の上には、何故かリスが一匹乗っかっている。リスは、私が近づいても逃げなかった。この人のペットだろうか?

それはまぁいいとして、男の人をよく見てみる。唇がかなり乾いている。多分、脱水症状だ。
「ちょっと待ってて。」
着ている白衣の内側から、ステンレス製の平たい非常用の特注水筒を取り出す。
男の人を起こし、口許に水筒を運ぶ。
中身はすぐになくなった。
少量だが、症状は多少良くなるだろう。
何せ中身はスポース飲料だから。

男の人は、喉が潤って安心したのか、眠ってしまった。
かなり疲れていたのだろう。
私は男の人に白衣をかけて、近くにある木の下に座った。
一旦、今の持ち物や状況を整理しよう。
まず、ここはどこか?
知らない。
何をするべきか。
まずは森を出る。
必要なもの。
水、食料。
持っているもの。
マッチ一箱・飴6個・ナイフ25本・ハサミ1本・空の非常用水筒1個・小型の端末1台・お気に入りの鈴1個。

「……とにかく森を出るしかない、か」
結局、わかっているのは自分の周りのことだけ。
まずはここから出なければ、最悪、死んでしまう。
それと、私の考えが正しいなら、ここは……

「……んん……… あ、あれ……?」
「………!」
あれこれ考えていると、男の人が起きたようだった。
妙に早く目覚めたと思えば、さっきのリスが頭の上にいた。
きっと、あのリスが動き回っていたから目が覚めたのだろう。
男の人は、周りを見回して私を見付けると、目を見開いた。
「………君は…………………んしょっと」
身体を重そうに引きずりながら私の方へ歩み寄ってくる。
そして、私の前まで来ると、彼にかけていた私の白衣を差し出す。
私はそれを無言で受け取った。
「君が、僕を助けてくれたの?」
「ええ。軽度の脱水症状だったので。少量ですが、水分補給を。」
「そっか……ありがとう。君は命の恩人だ。僕の名前は、大穹 巽(オオゾラ タツミ)。よろしく。」
巽と名乗った彼は、右手を私に差し出した。握手をするつもりらしい。
私は、握手なんて一度もしたことがないから、どう反応すればいいかわからず、困ってしまう。
それを知るよしもない巽は、「あ、ごめん……嫌だった?」などと申し訳なさげに言う。
私は普段、傲慢な科学者を相手にしているからこういう、立場が弱くて、礼儀正しく、相手のことを考えて言動するような善人の相手をするのには慣れていない。
とにかく「よろしく」とだけ言って、ぎこちなくだが手を前に出してみる。
すると
「ああ、よろしく。」
「あっ………」
巽が私の手を取った。
生まれて初めての握手。
それは、とても暖かかった。


◇ ◇ ◇


森の中を歩きながら、今後どうするかを話し合った。
まずは、森を出ることを第一目標にし、その中で最も重要なのが、水と食料の確保という考えでまとまった。
「やっぱり森は早く抜けたいな。ずっとここに長居なんてしたくはないし。君もそうだろう?……えっと?」
「……ユイナ。ユイナ=ハイティエル。」
「ユイナ、か。いい名前だね。」
「そ、そう。ありがとう。……で、森を抜けるにしても、どっちに行くの……?」
「あー……そこはやっぱり川とかを見つけることが重要になるかな。川とか、水の流れがわかるものが見つかれば、進むべき方向がきっとわかるよ。」
つまり、まずはひたすら歩くしかない、ということだ。
何にせよ歩くのには変わりないらしい。
当たり前だけど。
「じゃあ、まずは川を見つけよう…………ん?」
巽の肩にいたリスが、急に自分で歩き始めた。
早く来いと言わんばかりに私達の方を振り返る。
私はリスを追うことにした。どうせ歩くのだから、動物の勘に付いて行っても問題ないだろう。
もしかしたら、案外森の外に出られるかもしれない。
「え、ちょっ……」
巽も慌てて付いてくる。
そのまま私の隣に並ぶと、前を行くリスについて話し始めた。
「あのリス、一体何なんだろう。人間を怖がらないし、僕が目を覚ましたときには既に近くに居たけど……」
「……巽のペットじゃないの?」
「いきなり呼び捨て………ま、変に遠慮されるよりいいけど。ペットではないよ。でも、ペットか………いいかも」
あのリス、僕のペットにしようかな?


………こうして、誰かと普通に会話するのも、いつ以来だろうか。
会話といえば、研究がどうだとか、利益がどうだとかという話だけだった私にとって、こうして他愛ない話をするのはひどく新鮮だった。正直、何と言えばいいのか考えるので精一杯だ。
だから私なりの精一杯を出してみる。
「あのリスなら、捕まえやすいからすぐ食べれる。マッチは持ってるよ。」
「えッ!?食べるためにペットにするんじゃないよッ!?」
けれど、努力も虚しく巽にツッコミで一刀両断されてしまった。


◇ ◇ ◇


しばらく歩いて、それは現れた。
透き通った綺麗な水の流れる小川。
リスは一目散に小川へ飛び込み、気持ち良さそうに水に浸かっている。
一方巽も喉の渇きを潤すため、一目散に水を飲みに小川へ近寄った。
「ん……んぐ…………っはぁぁ~!生き返る!いや死んでないけど!」
喜ぶリス&巽を無視して、小川が流れていく方向を見る。
しかし、少し先からは小川が曲がっていて先が見えなくなっていた。
「ふぅ………あ、エイナさん、何か見えますか?」
「いえ、特には。」
「そっか……じゃあ、今度はこの小川に沿って歩こう。」
「ええ。そう……ん……………………ッ!!」
嫌な気配を感じて一方後ろに下がった。
その途端、さっきまで私の頭があった場所を、“それ”は弾丸の如く通過していった。
地面に着地し、獰猛な獣の唸り声を出す。
狼に似たそれは、しかし、形こそ狼だが、明らかに狼とは違うものだった。
針金のような毛並み、黄色く濁った目に灯る獰猛な光、縦に細長い瞳孔。
暗い灰色をした動物だ。
これは、普通じゃない。

白衣の内側から、ナイフを2本取り出して両手に握る。
「ユ、ユイナさん!?あれは一体……!?」
今、巽と話をするわけにはいかない。
もし意識を一瞬でもそらせば、喉笛を噛み千切られるかもしれない。
けれど、私もそんなに柔じゃないつもりだ。
あんな狼もどきの一匹や二匹、対応して見せる。
「グルル………グガァッ!!」
次の瞬間、狼もどきは地面を蹴って私の方へと跳躍した。

___速い。

けれど追い付けないわけじゃない。
この相討ち覚悟で腹部を切り裂く為に構えた。
しかし、狼もどきが私へ突っ込んでくることはなかった。
「っ?」
狼もどきは、「キャゥンッ!!」と犬が潰れたような声を出して横へ吹き飛んでいった。
わけがわからず、ただただ立ち尽くす。
狼もどきに何かが直撃したようだった。
狼もどきが吹き飛んで行ったのと逆の方向を見てみると、5人の男女がいるのが見えた。
………彼らが何かをしたのは明確だろう。

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