YUKI 2015-09-20 23:21:52 |
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~ エピローグ ~
店の火災は次の日迄かけてようやく消火したのだが、店の花魁達は蜘蛛の子を散らすように一人残らず戻ってはこなかった。
店の中には顔がほぼ分からないほどに焼け焦げた男女の遺体が二つあり、唯一焼け残っていた着物の柄から女の方は椿という花魁であることが判明する。
二つの遺体は抱き合うように崩れていたことから、おそらく愛し合う者同士が逃げ遅れ此処で朽ち果てたものだろうと思われた。
花街の店の火災は領主にまで届き、花街では新たな決まり事が作られることになり、住民は誰しも驚きを隠せないでいる。
『花街の花魁達は、皆自ら、または客が店に100両払うことが出来れば店を辞めることを許可する』という領主からの命令が下ったのだった。
花街での花魁と客の悲しい思いを悟り、領主からのわずかばかりのお慈悲だろう。
花魁と客は喜び、店は渋々了承した。
二つの遺体は街外れの寺にともに埋葬され、小さいながらも墓石も建てられた。
そしてそのご命日にはお寺側から毎年一輪の椿が供えられ続けているらしい。
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