▲▽ 2015-07-15 01:48:59 |
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:時雨
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( きっと彼は此の侭では命が危機に瀕すると本能的に悟ったに違いない。先程迄とは違う藻掻く様な動きと己の腕を掴んだ彼の掌。其れ等は今彼が何を言いたいのか拍子抜けする程簡単に知ることが出来る。-苦しい。放して欲しい。-薄く目を開け何処か苦しそうな其の顔を見れば恍惚な表情で笑みを溢して。今彼は溺れる寸前に居る。そう、寸前とは云え溺れているのだ。此れ以上行ったら彼の身が危ないと理解はしているものの快楽主義な己に取っては止めることなんて出来る筈もない。コポ、と彼の口から溢れる気泡が己の頬に当たり水中に居る事を再確認すると共に息苦しさが襲ってきて。彼の些か苦し気に歪んだ顔と目を合わせては口端を歪に曲がらせ笑って見せた。其の侭ゆっくりと海底へ向かい彼の苦しそうなしかし美しい姿を見ていたいと思うがフと辺りを見回しては血相を変えて彼を脇に抱え水面へと急ぎ。水面から顔を出しては砂浜まで彼を運び込み己は只其の隣に立つと口許を押さえていた。 )
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