インスタントカップル　BL

(相手の意向を聞くつもりは一切としてないのか、背後から投げかけられた戸惑いの色の伺える問い掛けを耳にするものの応じることはなく。こうして自宅への道のりを進んでいる間にも先程覚えた苛立ちは治まらず、むしろ意識とは無関係に脳内で勝手に再生され続ける先程目にした光景にそれは増していく一方。ここまで心の中を埋め尽くす暗く嫌な感情などこれまでに覚えたことがないせいもあって意識のほとんどを持って行かれてしまい、不機嫌を露わにした表情で戸惑う相手の手を強引に引く自分へと訝しげな視線をチラチラとすれ違いざまに向けてくる他者の存在にもまったくと気がついておらず。比較的学校と自宅が近距離にあるということもあってか、帰宅している間に機嫌が良くなるということもなくあっさりと自宅前へ。相手の腕を掴んでいる手はそのままに、空いている方の手のみで肩にかけた鞄の中に入っている鍵を器用に探って取り出して解錠し半ば強引に相手を自宅へと引き入れ。相手の手を掴んだままにしていたのを良いことにその流れのまま肩にかけていた鞄が落ちるのも構うことはなく、相手をさして広くはない玄関の壁に押し付けると、明らかに不愉快だと言わんばかりの鋭い視線を相手へと向け)
…俺には自分以外とキスすんなって言っといてお前は他のやつにべたべた触るってどうなの？勝手じゃね？