土佐人 2015-05-26 05:15:51 |
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その日のビストロ・サルの客席には珍しい客が来ていた。
仮面ライダードレイクの有資格者、風間大介とその相棒ゴンであった。
「あ〜!メイクアップアーティストのお兄さんだ!」
店の手伝いで注文を取りに来た樹花が素っ頓狂な声をあげた。
「久しぶりだね。しばらく見ないうちに随分と美しくなった。たとえていうなら……その……えっと」
「百合子のよう!」
ゴンがいつものように助け船を出す。
「そうそう、それそれ……って百合子はゴンの本名だろ」
「そうだよ。あたしだって名無しのゴンべは卒業だもん」
ゴンの言うとおり、髪を下ろしたゴンは少し大人っぽくなっていた。
「じゃあ、お嬢さん、ひよりみランチを二つお願いするよ」
「かしこまりました。ひよりさん、ひよりみランチ二つ入りました〜!」
「はい!」
厨房から、ひよりが元気に返事する。
ひよりは汗を拭う間もなく、料理を続けていた。
天道はまだ来ない。
でも寂しくはなかった。
「そばにいないときはもっとそばにいるか……」
ひよりは天道が言った言葉を思い出していた。
天道はそのうち必ず来てくれる。
そして店に入るなり、我が物顔でこう言うはずだ。
「サバ味噌!」
ひよりは料理を作り続けた。
扉が開き、厨房にも爽やかな風が吹き込んできた。
それは天の道を往く者が来た合図だった。
米村正二『仮面ライダーカブト』決戦!3 本文 天道ひより 天道樹花 風間大介 ゴン(百合子) 天道総司 より
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